「きょうは初回から声を出して投げていたね」。ベンチから見守る指揮官にも開幕投手を務めた男の気迫が伝わってきた。7連敗をして迎えた本拠地ZOZOマリンスタジアムでの4月28日のイーグルス戦。先発の小島和哉投手が7回を投げて被安打5、1失点に抑えると打線は15安打、10得点の猛攻。連敗は止まった。気迫あふれる投球でチームを引っ張った。それは試合前から決めていたことだった。
「声を出していこうと決めていました。やっぱり負けているときって、どうしてもシュンとしてしまう。だから気持ちから入ろうと。淡々と抑えていくのではなくて見せかけでもいいから、そういうのも出していこうと思っていました」
試合後の小島がそう明かしてくれた。7連敗を喫した前日27日。トレーナー室で治療を行いながら部屋に設置されているモニターで試合の行方をじっと見守った。ゲームは中盤までリードしながらも終盤に逆転負け。試合が終わると車に乗り、帰路に就いた。ハンドルを握りながら考えた。「どうやったらこの流れを変えられるのか?」。行きついたのがグラウンドの真ん中で投げる自分のマウンドさばき、立ち振る舞い。「空元気でもいいので、自分が率先して声を出して元気を出してやっていこうと思いました。それが運転しながら行きついた答え。決めたことでした」と話す。
前回登板となった4月22日のファイターズ戦(エスコンフィールド)は7回2失点で敗戦投手。「自分の悪いところが出た。際どいところを狙って、カウントを悪くしたり、球数が多くなったり」と反省多き試合となった。
「先制をされちゃいけないとか、1点もやってはいけないという思いがあると、どうしても窮屈になってしまう。だから1点はいいとバッテリーで話をしました。1アウト三塁の場面でも1点もやってはいけないと思うのではなくて、まずはしっかりと次のアウトを取る。そのことに集中しました。とにかくアグレッシブにグイグイいこうと」(小島)
2023、24年と2年連続で開幕投手を務めるなど吉井理人監督から高い期待をかけられる男は前日にしっかりと頭を整理しイメージをつくり上げマウンドに上がり、結果を出した。「しっかりと投げてくれた。ストライク先行でチームを引っ張る投球だった」と指揮官も目を細めた。マリーンズは残念ながら4月を月間負け越しと想定外の苦しいスタートとなった。ただ、シーズンはまだ始まったばかり。下を向いているときではない。ここから上に上がるのみ。背番号「14」は、これからも気迫の投球でチームを引っ張っていく。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)