第三国による在沖米軍施設の使用の法的根拠はあるのか。このままなし崩しに拡大すれば、県内の基地負担の増加に直結しかねず認められない。
オランダ軍の海兵隊が3月、米軍北部訓練場で行われた米海兵隊の訓練プログラムに参加していたことが明らかになった。
第3海兵師団が交流サイト(SNS)で訓練の様子を紹介している。それによると、米軍の第4海兵連隊とオランダ軍の海兵隊員が3月10日から2週間、北部訓練場で訓練に参加した。
北部訓練場は米軍基地の中でも大規模な施設だ。SNSでは「厳しいジャングル環境に米軍と同盟軍が対応するよう設計した」との説明もあった。
世界自然遺産に登録された「やんばるの森」に接しており、オランダ軍の人員など訓練の規模によっては環境にも大きな影響を及ぼしかねない。
県道から訓練場に入る米軍のトラック内にいる米海兵隊の迷彩服と異なる格好の兵士を目撃した住民もいる。
オランダ軍は今回、どのような形で入国したのか。
通常、民間空港から入国すれば検疫などの入国審査を受ける。一方、日米地位協定により、米軍は基地内であれば審査はいらない。
新型コロナ禍では、米軍基地由来とみられる感染が県内で広がった。基地内からの入国が第三国にも拡大されれば、病原が侵入する恐れも高まる。
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第三国による在日米軍施設の使用を巡っては、復帰前1971年の「沖縄国会」で当時の福田赳夫外相が、安保条約下では認められないとの政府見解を示していた。
しかし、この間、県内の米軍基地では第三国軍の参加が度々問題になってきた。
英国海兵隊の将校がキャンプ・シュワブやハンセンで訓練に参加したことが2016年の本紙報道で明らかになった。これに対し防衛省は当初、従来の政府見解をなぞり「第三国人の訓練使用は安保条約上認められない」と述べていた。
しかし約1カ月後、安倍政権は「いかなる態様であっても日米安保上禁じられているものではない」とする答弁書を閣議決定。条約の許容範囲か否かは、「個々の事案に即して判断される」と解釈を変更した経緯がある。
今回の訓練について沖縄防衛局は「承知していない」とする。であれば政府機関のどこが「判断」したのか。
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第三国の使用については、日本と国連軍地位協定を結ぶ11カ国が、国内7カ所の米軍基地を使用できる。そのうち県内は嘉手納基地、普天間飛行場、ホワイトビーチの3カ所となっている。
今回、訓練に参加したオランダ軍は日本と地位協定を結んでおらず、そもそも北部訓練場は対象外である。
第三国による基地使用は地域の安全保障にも関わる。過去にどれくらいの頻度で使われたのか。何を根拠としているのか。政府はまず実態を明らかにすべきだ。