アシロは4月25日、「養育費に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は2024年4月2日~4月4日、 離婚歴があり、子どもの親権を持つ女性300人(20代20%、30代80%)を対象にインターネットで行われた。
○養育費を毎月受け取れている人は36.3%に留まる
離婚の経験があり20歳未満の子どもを持つ女性300人を対象に、「養育を受け取っているか」と質問したところ、36.3%の人が「毎月もらっている」と回答した。「毎月もらっているが、減額されることがある」、「過去数回のみもらったが、その後はもらえていない」など、何かしらの事情により満額の養育費をもらえていないという人は約6割となった。
○半数は適切に養育費を取り決めるも毎月受け取れているとは限らない
続いて「離婚の時、養育費の取り決めをしましたか?」と質問したところ、「家庭裁判所を介して取り決めた」、「公証人役場で公正証書を作成した」と回答した人は合計で49.3%となった。これらの手段は、万が一養育費が受け取れなかった場合に強制執行を検討できる選択肢だが、回答者の養育費の受取状況を参照すると、それでも「毎月もらっている」と回答した人は半数程度に留まっている。また、養育費について「取り決めをしなかった」と回答した人においては、93.8%が「一度ももらえていない」と回答している。養育費は離婚時に取り決めをしておくに越したことはないが、取り決めさえしておけば円満に養育費を受け取れるとは限らないようだ。
○取り決めをしなかった理由の1位は「相手と関わりたくなかった」
続いて、養育費について「取り決めをしなかった」と回答した61人に対して、「取り決めをしなかった理由を教えてください」と質問したところ、31人が「相手と関わりたくなかった」と回答。次点では23人が「相手に支払う意思がないと思った」と回答している。価値観のすれ違いや夫婦間トラブルによって離婚をする場合には、極力相手方と建設的なコミュニケーションをとることは難しく「すぐにでも関係性を清算したい」と考える方が多い可能性がある。一方で、「取り決めをしたかったが、交渉がまとまらなかった」と回答した人が5人おり、こうした場合は、必要に応じて弁護士や家庭裁判所といった第三者の介入を検討する必要があるのかもしれない。
○約半数は養育費をもらえなかった場合も働きかけをしなかった
続いて、養育費の受け取りに関して「減額されたことがある」、「もらえなかったことがある」、「一度ももらえていない」と回答した182人に対して、その状況を改善するための働きかけをしたかを調査した。41名が「連絡して督促した」、24名が「話し合いの場を設けた」と回答しており、自分の力で状況の改善を図った方が多いとわかる。一方で、「裁判所に勧告してもらった」、「弁護士などの専門家に相談した」、「強制執行をした」といった第三者の介入を選ばれた方も一定数いるようだ。しかしながら、最も回答が多かったのは「働きかけをしなかった」であり、回答者のうち半数以上が働きかけをしなかったことがわかる。
働きかけをしなかった人に、その理由を聞いたところ、「めんどくさかった。もう関わりたくなかった」(37歳女性)、「離婚後、連絡先も知らないし会ってもいないから」(38歳女性)、「子どもとの面会を強要されるのが嫌だったから」(28歳女性)、「経済的DVが理由で離婚したので、怖くて連絡できない」(31歳女性)、「相手に経済力がないため諦めている」(32歳女性)といった声が集まった。
○働きかけによる改善は32.9%に留まる
続いて、養育費を受け取れなかったため何らかの形で働きかけをした女性88人に対して、「働きかけて状況は変わりましたか?」と質問したところ、「改善した」と回答した人は32.9%に留まる結果となった。67.1%は働きかけをしたにも関わらず状況が「改善しなかった」と回答。離婚後のひとり親世帯が抱える課題が浮き彫りになる調査結果となった。
○女性のひとり親世帯では経済・生活面で余裕がないケースが多い
養育費について「毎月もらっている」以外の回答をされた女性182人に対して、「経済面で生活に余裕はありますか?」と質問したところ、「十分に余裕がある」、「少し余裕がある」と回答した人は17.5%に留まった。
同じ人を対象に「困っていることはなんですか?」と質問したところ、「生活が苦しい」と回答した人が最多の70名となり、「子どもの学費が足りない」、「子どもの塾や習い事にかけるお金が足りない」と回答した人も多いことから、女性のひとり親世帯において、経済面での課題を抱えるケースが多いことがわかる。一方で、働きながら子どもを育てなければいけない家庭の場合、「自分の時間が確保できない」、「家事と仕事の両立が難しい」といった悩みを抱える方も一定数いることがわかった。