自閉スペクトラム症の息子のため母親がカフェ開業 「働く場と外食を楽しめる場を」

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息子の行く末を案じ、眠れないほど苦悩していた女性。しかしセラピストと話したことで、思いもよらない転機が…。ある女性の思い切った取り組みを、アメリカのメディア『CBS News』が紹介している。

アメリカ・ペンシルベニア州で暮らすモーリーン・スタンコさんには、大きな悩みがあった。自閉スペクトラム症の息子ニックさん(20)は学校に籍を置いてはいるが、通い続けることができるのは22歳まで。その先についてはまるで見通しが立たず、不安ばかりが募っていたのだ。
そんなある日のこと、モーリーンさんは父親がよく言っていた言葉を思い出した。「壁にぶち当たったら、必死に祈れ。あとは行動を起こすのみだ」という言葉だ。
その時ふと「So much to give(与える物はたくさんある)」と考えたモーリーンさんは、ニックさんのセラピストであるタイラー・カマリーさんに話を聞いてもらうことに。その行動が、モーリーンさんの運命を変えた。

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タイラーさんに「実は僕にも、目標があるんです。障害がある人に仕事を与えるため、店を開きたいんですよ」と言われたモーリーンさんは、一役買おうと決心した。
こうしてふたりは慈善家とタッグを組んで飲食店オープンに向けて動き出し、約2年後に『So Much To Give Inclusive Cafe』という店をオープンした。
モーリーンさんらは計63名のスタッフを雇用したが、その8割が障害を抱える人たち。担う仕事は様々で、客の出迎え、料理運び、皿洗い担当、さらに副料理長やウェイターなどもいる。

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ニックさんには障害だけでなく、重度の食物アレルギーもある。そのためモーリーンさんも最初は不安に思っていたが、ニックさんは学校がない日は店に行き、せっせと働くようになった。
その様子を見守るモーリーンさんは、この店を「障害を抱える人が気軽に外食を楽しめる場所」にしたいと考えている。モーリーンさん本人がニックさんとの外食で苦労し、苦い経験を何度もしたためだ。
ニックさんはこの店で座って食事をすることを学んだが、もし暴れたとしても理解あるスタッフばかり。ここであれば、障害がある人とその家族が人目を気にする必要はない。

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カフェを軌道に乗せたモーリーンさんは、店の向かいでスタジオをオープン。障害のある人たちが集い、音楽やライフスキル、クラフトなどを学べる場にした。
この経験を通し、障害の有無にかかわらず「人のためにできることは多い」と実感したというモーリーンさん。ニックさんのために始めたことが、モーリーンさん本人の生きがいにもつながったようだ。

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