先日、宮崎市の高校のグラウンドで落雷があって、生徒18人が救急搬送される、という事故がありました。関東地方では、これからの季節は雷が多くなるので、今日は、突然の落雷事故から身を守るために知っておくべきことを、改めて調べてきました。
まずは、この事故当日の天気から知る、身を守るために知っておくこと。ちなみに、落雷事故があったのは、午後2時35分ごろ。気象予報士の長谷部愛さんに、天気図やレーダーで、当日を振り返ってもらいました。
気象予報士 長谷部愛さん「宮崎市内は午前中は曇っていて、雷鳴とか落雷などもあったんですね。で、午後1時から2時台くらいは、実は宮崎市の周辺だけ、ぽっかりと晴れ間が出てきたんですね。
ただ、雨雲には囲まれていて、所々で発達した雷雲とか積乱雲みたいなものが生まれていて、それがどんどん近づいて雷を落としていっては去る、っていうのを繰り返しているような状況でした。
なので今回1~2時間、晴れ間が出てしまったけれども、実は南にはもう雷雲が控えてたんだっていうのがレーダーとかを見てるとあったっていう状況なんですね。
周囲の様子を注意深く見ていたり、レーダーを、晴れたなと思ってやめるんじゃなくて見続けていたら、気づけたんじゃないかな…という風には思うんですけど、やっぱり自分のいる真上の空だけ見ると『あ、晴れたんだな、大丈夫そうだな』という風に錯覚しやすい、そんな天気だったとは思います。
あの、今日は大気が不安定って予報で言われてるときは、不安定って言われてる時間帯は、いつ起きても、っていうくらいで、ちょっと監視をして欲しいな、というところではあります。」
回復したと錯覚しやすい天気だったんですね。1~2時間の晴れ間は、天気が回復したと思ってしまいますよね。
しかし、レーダーを見せてもらうと、確かに宮崎市のまわりには、所々で雷雲が湧き出ていて、たまたま、宮崎市の上がぽっかり空いているだけ、でした。
大気が不安定という予報の時は、晴れ間が出てもレーダーで確認する、これが大事。
あとは、雷注意報。ただ、雷注意報は、夏だと朝から出てることも多くて、いつ警戒したらいいの?となると思うんですけど、午後に気温が上がって不安定になって降るよ、と分かっているから出ているので油断せず、そういう時こそ、レーダーを見て気をつけてください、ということでした。
とはいえ、いつもいつもレーダーを見られるとも限りませんよね。その時の判断の基準となるのが、雷の音。みなさん、どのくらいの音がしたら、警戒してますか?気象レーダーなどを研究している大阪大学の牛尾知雄教授のお話です。
大阪大学 牛尾知雄教授「雷の音が聞こえたら、もうそこは危ないと思って頂いた方が良いと思います。
ゴロゴロっていう音が聞こえる範囲がおよそ10キロなので、で、積乱雲の単位、セルっていう単位があるんですけど、それの直径が約10キロというスケールですので、ほぼ同じですよね。ということは、音が聞こえたらその上には積乱雲があって、自分のところに、次の瞬間落ちてきてもおかしくはない、という状況だということですね。
それが一番簡単で分かりやすい判断の方法だということになりますね。少しね、大雑把な話ではあるんですけどね。こういう判断はですね、万が一ということを考えているわけですよね。なので、もちろん空振りになる確率も非常に大きいです。ただ安全にね、考えておくに越したことは無いと、そういうことだと思いますね。」
ゴロゴロはまだ遠いと思ってましたが、ゴロゴロが聞こえるということは、その上には積乱雲があって、次の瞬間自分に落ちてきてもおかしくないんだ、と思って欲しい、と。
では、ゴロゴロが聞こえてきた時に避難する場所ですが、一番は鉄筋コンクリートの建物に入る。これはみなさんご存知ですよね。
ちなみに、建物の中に入れない場合は、その建物の付近で低い体勢を取る。これは、保護角といいますが、『その建物のてっぺんを見上げた視線と地面とが成す角度が45度以上のところ』これが保護角と言われてる範囲で、上から来た雷は、その保護角の中にいる限りは、高い方に落ちると、そういう考え方です。
さらに夏に向けて機会の増えそうな、建物のない屋外で、雷を避けるときの注意点も聞きました。「高い木の下が意外と危なくて、木の方にまず落ちるわけですね、高いのでね。なのですが、木の中の導電性よりも人間の導電性のが高いので、木の方から人間の方に、途中で流れてきた電流、放電路が飛んでくる可能性がある、そうすると危ないですね。雨を避けるという意味ではね、ついつい木の下に行きたいというのは分かるんですけども、雷さんから見ると、木を目指して放電路は飛んできますので。あの、木の下で雨宿りをしてた人が雷撃を受けてけがをする、場合によっては亡くなるといった事例は多数報告されています。
いや、テントも鉄のポールがあったりしますよね。そこにやっぱり飛んできますので、そもそもそんな高いものじゃないですよね。そうするとさっきの保護角の感覚で言うと、45度となるともう、ほぼポールに密着してるような感じになると思うんですよね。そうするとポールに落ちるのと同時に自分にもやっぱり落ちてしまうということで、それもやっぱり危険ですよね。」
木から雷の電流が、人に飛んできて落雷を受けてしまうことを側撃、と言いますが、人間の体はほとんど水分なので、とても電流が流れやすいんです。
そして、キャンプなどの際には、テントよりも高い木がある場所だったら、木の方に落ちる可能性は高いかもしれないし、木から雷の電流が飛んでくるの避けるためには4m以上離れると受けにくい、と、一応ありますが、基本的にはお薦めできない避難場所である、と思って下さい、と。
じゃあ、どうすればいいですか?と、ちょっと困ってしまって先生に助けを求めたのですが、原則としては高いところに向けて雷は落ちるという考えで、そこをまず気をつける。ただし、近づきすぎるとそれは危ないので、ある程度離れた方がよい、と考えてください、と、いうことでした。
そう考えると、安全な建物や車などの、避難場所をしっかり確保して屋外で過ごす、というのが、本当に大事なんだと実感しました。