「歌舞伎町は私の故郷」20歳で家なし&食事はサバ缶…限界ホス狂いが“頂き女子りりちゃん”になるまで【22日に判決】

2023年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「頂き女子」。男性3人から計1億5500万円以上の金をだまし取った罪などに問われた、渡邊真衣(わたなべ まい)被告(25)にいよいよ4月22日、判決が言い渡されます。
被告の「りりちゃん」はどのような人物なのか。裁判期間中、同い年の記者が複数回面会し、明らかになったことを振り返ります。
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(渡邊被告のYouTubeより)「魔法少女りりちゃん!」
「頂き女子りりちゃん」こと、渡邊真衣被告(25)。マッチングアプリや当時勤務していた風俗店で知り合った50代の男性3人から、現金1億5500万円以上をだまし取った、詐欺の罪などに問われている。
同じ1998年生まれの私はこれまでに複数回、愛知県内の留置施設で渡邊被告と面会した。
留置施設での面会(画:三影祐水)
(渡邊被告)「お願いしま~す」面会室に入ると、そこにはすでに渡邊被告の姿が。裁判でもかけていたクリアフレームのめがねは“ファン”の女の子からの差し入れだという。“ファンレター”も留置施設にいくつも届いていると、嬉しそうに話していた。
19歳の頃は横浜で1人暮らしをしていたという渡邊被告。しかし、その翌年、大きな転機が訪れる。
20歳でホストに目覚め、いわゆる“ホス狂い”になった。歌舞伎町から帰らなくなり、家は解約。カプセルホテルに寝泊まりしながら、風俗店で金を稼いでは担当ホストに貢いだ。しかし、多額の「売掛金」を背負い、その支払いに窮することに・・・
そうして生まれたのが、「頂き女子」。最初に金を“頂いた”相手は、自身が当時勤めていた風俗店の客だった。「頂き女子」の由来は、風俗店の男性客から店以外のところでお金をもらう『裏引き』という言葉だという。男性からいくらもらえたのかSNSで報告し合う・・・渡邊被告もその一人だった。(渡邊被告)「『何万引く』って言い方は下品で、言葉遣いが良くないなと思って、『頂く』にしようと思うとツイッターに書いたら、みんなが使ってくれるようになった」
これまでに「頂いた」総額は約3億円。しかし、そのほとんどはホストに貢ぎ、生活は華やかなものではなかった。「ホストって、家なくても心配とかしてくれないんだよね」。ホストにより多くの金を貢ぐため、生活を自然と切り詰めるようになった。(渡邊被告)「捕まる前はサバ缶ばっかり食べていた。1万使うと、その分、担当に使える額が1万減っちゃうって考えで、服を買うときも担当に『買って良い?』っていちいち確認していた」
押収されたマニュアル(名古屋・中警察署)
20歳の頃、情報商材に詳しいという担当ホストの勧めで、男性から金をだまし取る方法をマニュアルにした。SNSを通じて販売し、これまでに約2000万円を売り上げた。
(記者)「どうしてみんな頂き女子になりたがる?」(渡邊被告)「頂き女子になりたいというか…お金を稼ぐのに必死なんだよね。マニュアルを買ってくれるのはホス狂いの女の子がほとんどで、そういう子は(売掛金の支払いのため)1か月単位でお金を集めないといけないから、すぐに稼げるやり方を知りたいんだよね」
りりちゃんの担当ホスト「狼谷歩」こと田中裕志被告
「頂き女子りりちゃん」関連では、渡邊被告本人のほか、“マニュアルを購入し男性から金をだまし取った女子大学生”、“りりちゃんが貢いでいた担当ホスト”、“ホストクラブの経営者”の3人が逮捕・起訴された。渡邊被告が足しげく通ったホストクラブも廃業となった。
りりちゃんのマニュアルを購入し、マッチングアプリで知り合った男性2人から現金1065万円をだまし取った詐欺の罪に問われた女子大学生には2023年12月15日、「懲役3年・執行猶予5年」の判決が言い渡された。
判決が出る前には、女子大学生が勾留先の拘置所から手紙を送ってきたという。
「私のせいで巻き込んじゃってごめんね。りりちゃんは私の青春だった」。
手紙を受けて、渡邊被告は「全部私のせいにして」と話した。
(渡邊被告)「バッシングも受けてつらいと思うし、年下の女の子に罪を背負わせてしまった。味方になりたい」
「家賃を滞納している」「親と縁を切るために手切れ金が必要」「アパレル会社を作って借金」・・・渡邊被告はこうしたありもしない経済的苦境を、色恋の言葉とともに語って男性たちから多額の金を集めた。冷静になった今、当時の行為を振り返ると…
YouTubeより
(渡邊被告)「悪いことだって、当時は思わないようにしていた。担当に頑張って貢ぐことが素晴らしいことなんだと自分に言い聞かせて洗脳していた」
渡邊被告にとって、歌舞伎町はどんな場所なのか。本人に尋ねると・・・「歌舞伎町は私の故郷。辛いこともありすぎるけど、私を強く育ててくれた」。
廷内イラスト(画:三影祐水)2023年11月
検察側は「入れあげたホストの売り上げに貢献したいと、その原資を求めたもので、短絡的で身勝手極まりない。男性の恋愛感情につけ込んだ卑劣な犯行で、十分な計画性も認められるうえ、同種犯罪を助長した責任は重い」などとして、懲役13年と罰金1200万円を求刑。一方、弁護側は「単なる遊興ではなく、存在意義を見い出すためにやっていたことで、ホストに利用された被害者的側面もある。全国に名を知られるなど社会的制裁も受けた」などとして寛大な処分を求めました。
判決は4月22日、名古屋地裁で言い渡されます。

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