市川市の田中甲市長は18日の定例記者会見で、市制施行90周年に合わせ、「市川市親善大使」に日本を代表するシンガーソングライター、さだまさしさん(72)を選任したと発表した。就任式は、さださんの全国ツアー初日となる同市文化会館コンサートの5月24日に、開催前の同館内特別式で実施する。
市はこれまでさださん側に大使就任を打診しており、2月末に東京都内で開かれたコンサート前に田中市長が面会。さださんは「(長く住んだ)市川市とはゆかりもあり協力させて頂ければ」と了承したという。
中学の多感な青春時代から歌手として成功するまで約20年間、市川で暮らし、同市とはゆかりが深い。親善大使として「第2の故郷」ともいわれる市川のイメージアップに一役買う。
5月24日に市文化会館の特別室で行う就任式は、市民のモニターやライブ配信を通じた視聴が可能か検討する。
会見で田中市長は「市川の魅力を内外に発信し、市の発展に力添えしてもらえれば。市の知名度がさらに広がり大変うれしく思っている」と歓迎。好きなさださんの曲を聞かれると「道化師のソネット」を口ずさんでみせた。
親善大使としての具体的な活動は、11月3日の「市制90周年記念式典でのメッセージ伝達」以外はこれからの協議となる。市長は、市民のための特別コンサート▽企画展▽市長との対談-などの「案」や、市役所の昼のチャイムやJR市川駅などの発車メロディーにさださんの曲を流すアイデアを披露。「(大使在任は)終身でお願いしたい」と長期的な協力も期待した。
さださんは長崎市出身。フォークデュオ「グレープ」を1972年に結成し「精霊流し」が大ヒット。ソロシンガーとなってからも「雨やどり」「案山子」「関白宣言」など数多くのヒット曲を生み出した。テレビやラジオ番組のパーソナリティーや小説家としても活躍している。
市川との縁は、長崎から上京し、親類を頼って暮らし始めた中学時代にさかのぼる。貧しい大学生時代、「グレープ」結成、ソロアーティストとしての成功と計約20年、市内各地で暮らした。市川での苦闘の日々は自伝的小説「精霊流し」「ちゃんぽん食べたかっ!」に濃密に描かれ、NHKの連続ドラマでも放映された。