パレスホテルは4月23日、ブーランジュリー「Et Nunc Daikanyama(エトヌンク 代官山)」を、代官山駅至近の複合施設・Forestgate Daikanyamaにオープンする。
ブランド名「Et Nunc」は英語でand now、そして今という意味が込められている。日常にそっと寄り添うような毎日食べたくなるおいしさをコンセプトに、同社運営のホテルで30年以上腕を振るうベーカリーシェフの星 敏幸氏が、パンの開発を手掛けた。
素材の主役の小麦はすべて国産。小麦のおいしさを味わう生地の配合、焼き込み、素材同士の組み合わせのバランスに徹底的にこだわったという。
小麦本来の風味を最大限引き出すため、バゲットやパン ド ミなどシグニチャーブレッドのほとんどは小麦をブレンドせず単一で使っている。生地を発酵させるのに欠かせない酵母は、ベーカリーシェフがいつか活用する時が来ると、ルヴァン種やホップ種など4種ほどを約15年かけて育てた。今回この自家製酵母も使ってパンを作る。パン生地に用いるバター、塩、きび糖も国産にこだわり、パン職人の技でその日の温度や湿度に適した配合で生地を仕上げ、店内で焼き上げる。
常に同じパンを店頭に並べるのではなく、朝はクロワッサン、昼はお惣菜パンやスイーツパン、夜はワインに合うオリーブパンなど、その「今」のときにふさわしいパンをラインナップ。シーンごとに訪れて限定のパンに出会う楽しさも。
シンプルだからこそ小麦の個性が際立つ「バゲット」(380円)。小麦「さちかおり」は国産初のフランスパン用として作られ、風味が濃く芳醇な香りが特徴。パン生地を作るためのミキシングをあえて短時間に抑えて、生地に触れる回数を極力減らし、しっかりと焼き込んだ。
「Et Nuncバゲット」(380円)は、挽き方までこだわった複数種の北海道産小麦を、絶妙なバランスでブレンド。ベーカリーシェフが理想の味を追求して作り上げた。この小麦を用いてしっかり焼き込んで作るバゲットは、クラム(パンの内側)がほんのりとした黄色に。クラスト(パンの耳)含めて歯切れのよい食感で、小麦本来の甘みが口いっぱいに広がり、香りが余韻として残る。
さっくりと軽い食感の「パン ド ミ」(1斤 520円)には、小麦「ゆめかおり」を使用。トーストしたときの食感を大切に、ルヴァン種とホップ種の自家製酵母を用いている。香ばしさが出るよう限界まで焼き上げることで、クラストもさっくりと軽やかな仕上がりに。トーストするとその食感がさらに楽しめる。
「パン オ ルヴァン」(840円)は、香りが立ち、香ばしさのなかに甘みもある小麦「はるゆたか」を用いて、プレーンタイプ、味噌&クルミチーズ、レーズン、ゴマなどの数種を用意。パン酵母を用いず自家製酵母のルヴァン種のみで生地を仕込み、成形後に1日かけてゆっくりと発酵させ、熟成させた後、高温でしっかりと焼き込んだ。
国産バターの香りとコクとともに小麦の風味もしっかりと感じる「クロワッサン」(380円)。クラストとクラムの食感のバランスを意識しながら、なめらかな内層になるよう生地を幾重にも折り込み、じっくり焼き上げた。
「チャバタあんばた」(380円)は、奇跡の小麦と称される希少品種の「キタノカオリ」を使用したチャバタに、コクのある北海道産の発酵バターと、北海道産エリモ小豆を使ったほどよい甘さの餡子を合わせた。
春野菜のタルティーヌは、スライスしたパン オ ルヴァンに、ミルクとバターでグリーンピースの甘みを引き出したペーストを塗り、グリーンアスパラガス、ブロッコリー、インゲンなど、緑の野菜を美しくトッピング。タルティーヌの土台のパン オ ルヴァンは都度種類を変えるので、異なるパンとの組み合わせも楽しめる。
店内デザインは、国内外で活躍する芦沢啓治建築設計事務所が担当。店内には、品質の高さで評価の高い「カリモク家具」や佐賀の職人が作る「Ariake」の家具を選定。奥に大きな窓を配した厨房があり、焼き立てのパンを対面式カウンターに常時40種ほど並べる。イートインスペースも設けてソファ席などを配し、居心地のよい空間を演出する。