日産自動車の軽EV(軽自動車の電気自動車)「サクラ」が売れ続けているようだ。2022年6月の発売以来、累計販売台数は約7.2万台に到達。2023年度は前年度に引き続き国内EV販売台数No.1を獲得した。どんな人がサクラを買っているのか、販売状況の詳細を聞いた。
購入者の3割が最上位グレードを選択
2023年度のサクラの販売台数は3万4,083台。国内EV市場に占めるシェアは41%と圧倒的だ。サクラの販売状況に関するオンライン説明会に登壇したチーフマーケティングマネージャーの近藤恵子さんによると、2年連続で3万台以上が売れたEVは前例がないとのこと。セグメントで見ると、軽ハイトワゴン市場におけるサクラのシェアは6.9%だった。
ちなみに、日産のEV「リーフ」と「アリア」を合わせるとシェア16%なので、2023年度に日本で売れたEVの2台に1台以上が日産車だったということになる。
サクラの販売状況を見ると、購入者の30%以上が充実装備の最上位グレード「G」を選択している。ボディカラーの1番人気は「ホワイトパール」、2位はホワイトパール/チタニウムグレー」だ。男女比は半々くらいとのこと。
2023年度における日本の自動車販売全体に占めるEVの比率は1.8%。同じ期間の日産の国内販売に占めるEVの比率は約10%だ。
軽自動車からの乗り換えが増加中!
サクラ購入者の92%が戸建て住宅の居住者だったというのは興味深いデータだ。つまり、ほとんどが自宅充電可能な環境で暮らしているということになる。やはり、自宅で充電できないとEVを快適に使うのは難しいらしい。購入者に占める戸建て住宅居住者の比率は、軽自動車全体と比べ、サクラの方が約20%ほど高いという。集合住宅でEV充電機器の設置が進んでいないという話はよく耳するので、このあたりがEV普及の課題になっているのかもしれない。
軽自動車からサクラに乗り換える人が増えていることも特徴的な動きだと近藤さんは指摘する。2023年度の第4四半期は約6割が軽からの乗り換えだったそうだ。
発売当初は「2台持ち」の顧客が多かったそうだが、発売から2年で徐々に「1台持ち」の客が増えてきているという。軽EVのサクラはフル充電で180kmと航続距離が限られるため、長距離移動をこなせる別のクルマを持っている人が2台目以降に買うケースが多かったものと思われるが、だんだんサクラ1台で何でもこなすという人が増えてきている状況がうかがえる。
サクラは法人客にも選ばれている。近藤さんが紹介した導入事例によれば、5台を購入したJALグループはサクラを伊丹空港で牽引車として使っているそうだ。軽自動車でありながらEVならではのパワフルさを備えるサクラならではの用途といえるだろう。業務終了後に充電できるという軽EVの特性が業務の効率化にもつながっているという。