カラス対策はカラスの鳴き声で!?住民の意識も変化

日々のごみ出しで困るのが、カラスの被害です。
まずは、街でカラスに関する被害、トラブルについて聞いてみました。
「カラスって頭が良くて、連携プレーで、ごみにかけている網を3羽くらいで同じ方向に動かして、隙間から次のカラスが中から物をとるとか、こっちに食べ物あるって呼び合ってるんですよ。人間敵わないですよ、知恵比べです。」
「小さいころ、後ろから、ど突かれたことしかないです。たぶん近くに巣があったんじゃないかな。いきなり後ろから来たのでびっくりして。」
「住んでいるマンションで、上の方にカラスが巣を作っちゃって、見に行ったら攻撃してきて、その2、3日後に下を歩いていたら、カラスが覚えていて攻撃してきた。カラス、別に憎んでもしょうがないので、人間が対策するしかないですよね。」
「5年くらい前に、ちょっと出かけたあと散らかされちゃった。覚えてるんですよね、きっと。私が美味しいのを出したのかな。私が出すと降りてきちゃって。カラスは利口ですよね。」
攻撃、威嚇されたという声のほか、多かったのが「ごみを荒らされた」という声です。
ごみに関して、各地でいろいろなカラス対策がされていると思いますが、足立区では、ある斬新な取り組みが行われました。足立区 足立清掃事務所 長谷川澄雄所長に伺いました。
足立区 足立清掃事務所 長谷川澄雄所長「クロウコントローラー」なんですけど、赤外線センサーに感知すると、カラスの鳴き声がする。そのカラスの鳴き声で「この餌場は、ここは危ないよ」という声を出す。カラスの鳴き声を使って、カラスを撃退する機械を置くことによって、集積所を利用している方々に、カラスの被害があるということを認識してもらって、丁寧なごみ出しをしてもらうことを目的に、去年の6月~9月まで、特にカラスの被害が大きい竹の塚駅周辺など、集積所5箇所に試験導入させていただきました。カラスがごみを漁って例えば歩道などにごみを撒き散らしてしまう被害があった。苦情も結構ありましたし、収集するのも大変だという話を聞いていました。集積所を利用する方々が、カラス被害を認識して、カラス被害に合わないようにごみを出していただくようになったということが1番の効果だと認識しています。
足立区が試験的に導入したのは「クロウコントローラー」で、赤外線センサーでカラスに反応して、カラスの鳴き声を鳴らすというもの。足立区ではこれまで、ごみ袋にかぶせてカラスが漁るのを防ぐ「防鳥ネット」や防鳥ボックスを使うなど、カラス対策に試行錯誤してきました。
去年行ったこのカラスの鳴き声を使った対策では、特に「ここはカラスの対策をしているから、ごみの出し方も気をつけよう」という地域住民の意識改革につながったことが大きかったそうです。
この対策で使われた「クロウコントローラー」について、開発した株式会社クロウラボに聞いてみましたが、残念ながら今は販売停止中。ただ、同様にカラスの音声コミュニケーションを利用した「だまくらカラス」は取り扱いがあるということ。「だまくらカラス」には赤外線センサーはついていないけれど、タイマーで設定した時間にカラスの鳴き声を鳴らすことができます。
このようにカラス対策としての「カラスの鳴き声」に着目したきっかけについて、これまで20年以上、カラスの鳴き声を研究しているという、株式会社クロウラボ 塚原 直樹さんのお話です。
株式会社クロウラボ 塚原 直樹さん私がずっとカラスの鳴き声の研究をしている中で、カラスにお困りの方からご相談いただく機会が結構ありまして、特に印象的だったのが、果樹農家さん、果物を作っている農家さんが、いざ果物ができて、収穫しようとした時の前日に、カラスがいっぱいワーっと来て、果物をほとんど食べられてしまった、それによって廃業したというようなお話を聞いたことがあったんですね。当時私は、それこそごみ集積所とかそういった身近なところでの話しか知らなかったので、私がやっている研究が何かそういった方の役に立てないかというようなことを思って、自分の持っているいろんな鳴き声をスピーカーから流してみてカラスの反応を見るみたいなことを研究し始めたというようなところがあります。
塚原さんは、全国各地や海外で多くのカラスの鳴き声を録音して研究してきました。カラスが慣れるのを防ぐために複数の音声を定期的に変えて使っています。カラスが警戒している時の鳴き声の1つを聞いてみると、短い「あ」が繰り返されていました。「あ」の間隔がだんだん短くなることも特徴だそうです。
だまくらカラスは、月額のサブスクという形になっていて、大体1台5万円ほどで利用できます。農家などのほか、市街地のふん害対策などで全国40ほどの自治体で利用されているということでした。
カラスの対策、知恵をしぼって、これからも試行錯誤が続きそうです。

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