市川のなし守れ! 「梨花隊」農家お助け 花摘みボランティア活躍 中国産花粉の輸入停止で

「市川のなし」のブランドで知られる県内有数の梨産地、市川市で、ボランティアによる梨の花摘みが本格化している。「火傷病」と呼ばれる梨の木などの病気が中国で発生し、去年まで使っていた手間のかからない同国産花粉が輸入停止となったことから、苦境に立たされた梨農家を応援しようと募集に応じた。「梨花隊」と名付けられ、各地の梨畑で汗を流している。
市内約200軒の梨農家のうち約9割で昨年までは花を採取する必要がない中国産花粉を人工授粉に使ってきた。だが花粉を介して梨に被害を及ぼす火傷病が中国で発生、中国産花粉が昨年8月に輸入停止に。そこで市は畑で花摘み作業が必要になった梨農家支援のボランティアを1月下旬に募集。県内外から想定を超える304人が手を挙げ研修会に参加した。
当初は3月25日に開始の予定だったが、雨などで2日遅れのスタート。その後も雨や寒さで花の開花が遅れ、作業が中止になるなどして当初は4月7日までの予定だった実施期間を10日まで延長することにした。最終的に参加者は200人ほどになるという。
5日は約30人のボランティアが10軒の梨農家に分かれて作業。柏井町2、荒井一昭さん(68)の約1・5ヘクタールの農園では、5人のボランティアが梨の枝から花を摘む作業に没頭した。船橋市の明治大学3年、瀧口恵太さん(20)は募集の新聞記事を見て「少しでも力になれば」と応募した。作業現場では、積み重ねられた枝の山から1本ずつ手に取って花を摘むようになっており「思っていたよりずっと楽」。市川市のNPO法人職員、島田朋子さん(57)は「梨の花摘みを一度やってみたかった」と笑顔を見せた。
荒井さんは「本当に助かっている。ぜひ来年も」と期待した。摘まれた花は近くのJAいちかわ経済センターに持ち込まれ、脱穀や乾燥などの作業を経て人工授粉用の花粉となる。

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