ピッカピカの一年生は「32歳おっさん、セーラー服」!? 海自基地の異様な光景も地元じゃ「ああ、春だね~」くらい?

自衛隊にとって春は新入隊員の教育が始まる季節ですが、新入隊員の受け入れは春以外にもあるとのこと。しかも、「海士」の階級にある男性海上自衛官はセーラー服を着るのだとか。ただ、海自基地のある街では意外と見慣れた光景だそうです。
桜の花が咲き誇るこの季節、自衛隊にとっては新隊員が教育隊に入る時期でもあります。自衛隊は、基本的に日本国籍を有する18歳以上33歳未満の人であれば受験資格があり、試験に合格すると晴れて教育隊の門をくぐり自衛官としての教育を受けることになります。
ふ~ん、ということは32歳までか……、32歳!?
そうなんです、意外と大人になってからも入ることができちゃうんです。むしろ社会人を経験し、落ち着いてから改めて自衛官を目指す人もいるので、部隊には「鉄道業界から自衛官へ」のような面白い経歴の隊員もいます。
ピッカピカの一年生は「32歳おっさん、セーラー服」!? 海…の画像はこちら >>夏用の制服で行進する海上自衛隊の新隊員。いわゆる「セーラー服」を着るのは、「海士」の階級にある男性隊員のみ(画像:海上自衛隊)。
海上自衛官の妻である筆者(たいらさおり:漫画家/デザイナー)にとって親近感のある存在なのが海上自衛隊の教育隊。ここでは、将来の海上自衛官を育てるために、敬礼や行進、結索(ロープワーク)などの基礎を教えるほか、遠泳や短艇競技を実施して、数か月後には修了式を行ったのちにルーキーとして各部隊へと送り出します。
このように、新隊員を毎年輩出している教育隊には、「春っ子」と「秋っ子」の2種類がいます。これは、その名のとおり春と秋に入隊する新入隊員のことをそれぞれ指すもので、教育期間は課程によって違うものの、入れ替えで年に2回の受け入れを行っているところから生まれた俗称です。
教育隊での勤務経験がある、夫で海上自衛官のやこさんいわく「学校卒業後のタイミングで入る春っ子が圧倒的に多いけど、秋っ子も変わらず部隊で活躍しているから入隊時期に差はないよ」とのことでした。
ちなみに、海上自衛隊のなかでも「海士」と呼ばれる階級の低い男性隊員の制服は伝統的にセーラー服であるため、年齢によってはギャップが生じることもしばしば。32歳の男の子(もはやオジサン?)がセーラー服を着る、というとちょっとおののくかもしれませんが、教育隊周辺の街では見慣れた光景なのでご安心ください。
慣れないうちは制服に着られてしまいますが、教育隊での生活を経るとやがて年齢関係なく制服が似合う体型になるんだそう。数か月で体型が変わるって相当厳しい訓練なのでは、と夫やこさんに聞いてみると「1か月程度で慣れるから大丈夫!」とのことでした。
自衛官っていつも「慣れ」でまとめる気が……。
Large 240327 sailor 02
冬用の制服を着た女性の海上自衛官。傍らには男性隊員も整列しているが、このようにセーラー服タイプの制服は男だけである。冬用はセーラー服も紺色のものになる(画像:海上自衛隊)。
そういえば、筆者も海自オタクであることが、やこさんにバレた際、「そんなに自衛隊の知識があるなら教育隊に入れればよかった」と言われたことがあります。
筆者は、好きなジャンルは遠くから見守りたいタイプのオタクなので断りましたが、コアなオタクが多い自衛隊界隈、実際の入隊者にもオタクは多いのでしょうか。
やこさんに聞いてみると、自衛官を目指す自衛隊オタクは、実際にはそこまで多くないそう。どちらかというと資格を持っていたり、運動が好きだったりという人物を中心に色々な人が集まってくるとのことでした。
しかし、オタクとして自衛官になった人は、好きこそもののなんとやら……、で厳しい訓練にもしぶとく食いついて部隊で活躍するパターンが多いそう。「自衛隊愛」を仕事にも活かせるなんて最高だな、と改めて感じちゃいました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする