地方の生活コストは本当に安いのか? – FPが地方に移り住んで感じたこと 第141回 引っ越ししたらやっておこう!

「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

新型コロナウイルスが5類感染症に移行され、隔離措置や外出自粛要請等が解除されて、常時テレワークとされていた勤務体制から出社する体制に戻っている企業もあり、徐々に「日常の生活」が戻ってきています。そして、3月から4月にかけては、入学や入社、転勤、異動などの理由で引っ越しをする方も多いでしょう。引っ越しは梱包も開梱もエネルギーを使いますが、新しい土地での生活は、見るものすべて新鮮で、毎日の生活に新しい風が吹くかもしれません。そこで、私自身、新しい土地での新生活を始めた経験から、引っ越し後にできるだけ早くやっておいたほうがよいことをお伝えしたいと思います。

○【1】引っ越しで使ったダンボールはすぐに処分しましょう

「片付けは、時間があるときにやろう」、「すぐに使うものではないから、ダンボールに入れたままにしておこう」と、引っ越しで使用したダンボールを開梱せずに、ダンボールのまま押入れやクローゼットにしまいこんでいませんか。

トラックに積まれたダンボールは、トラック内のほこりや小さな砂がついたり、入り込んだりすることも多々あります。また、ダンボール自体は、保温性や保湿性に優れているため、押入れやクローゼットなどの薄暗い場所に保管されることで害虫が発生することもあります。早めに引っ越しで使ったダンボールは処分して、収納ケースや衣装ケースなどの収納用品に入れ替えて保管しておきましょう。
○【2】警察署や交番、病院、役場、公園の場所を確認しましょう

新しい土地での新生活において、スーパーマーケットやコンビニエンスストアは、立ち寄る人も多いので、引っ越し後、早い段階で場所を把握できると思います。「新生活での緊急時」に頼りになるのは、警察や行政、そして病院等です。下記の事項を参考に、実際に歩いて確認しておきましょう。

■自宅から最も近い警察署や交番はどこにあるのか。
■自宅から最も近い病院や診療所はどこにあるのか、また、休日や夜間に、診療してもらえる病院はどこにあるのか。
■役所の本庁はどこにあるのか。
役所の本庁が自宅から遠い場合、自宅周辺に、支所や出張所はあるのか。
■自宅周辺の大きな公園はどこにあるのか。公園は避難場所となることもあります。
○【3】メインバンクの支店やATMはどこに?

都市部には支店が多いメガバンクでも、地域によっては支店もメガバンクのATMも存在しないこともあります。コンビニエンスストアに設置されているATMでも利用は可能ですが、銀行によっては、手数料がかかる場合もあります。また、インターネット銀行をメインバンクにしている場合には、自宅から最も近い利用可能なコンビニエンスストアのATMの場所を確認しましょう。
○【4】インターネットで購入したものはいつ届く?

都市部であれば、インターネットで購入したものは、受け取りの日時を指定しなければ、数日で届くことが多いと思います。東京都内では、注文時間が早いと注文した翌日には商品が到着するということもあります。地方では、商品到着までに日数がかかることもあるため、インターネットで物を購入する際には、商品到着までのおおよその日数を把握しておくとよいでしょう。ショッピングサイト上では、「2~3日で到着予定」と記載されていても、実際には、さらに日数がかかる場合もあります。早急に必要な物を購入する場合、インターネットで購入したほうが早いのか、実店舗で商品を探したほうが早いか、慌てずに判断できるでしょう。
○【5】地元の情報を手に入れよう

インターネットで検索すれば、簡単に情報を収集できます。ただし、匿名で発信された情報は、間違った情報があるのも事実です。新しい土地の気候、習慣、行事、お祭りなど、その土地で暮らしていくために知っておくとよい情報を、地元の新聞や地元出版社が発行している雑誌、地元の情報TV番組、自治体が発行している広報誌等から手にいれましょう。

私自身も、北東北に住み始めた頃に地元の情報TV番組を見ていて、冬が近づくと、雪が降ったときの歩き方や水道管の水抜き方法、スタッドレスタイヤを交換する時期など、生活に密着した情報を知ることができました。
○終わりに

新生活がスタートしたときは、新しい環境に慣れることに集中し、プライベートは後回しになりがちです。安全にかつ快適に新生活を送るためにも【1】~【5】について、ぜひ実践していただければと思います。

高鷲佐織 たかわしさおり ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。 資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。一般社団法人理想の住まいと資金計画支援機構 FPスタッフ。 この著者の記事一覧はこちら

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