年度末に引っ越し出来ない人が続出。背景に2024年問題

今月も残りわずか。まさに今、引っ越しの準備を進めている人も多いと思いますが、この春、引っ越したくても希望通りに引っ越せない「引っ越し困難者」が、続出しているようです。
どんな状況なのか?まずは今週、鹿児島県から神奈川に引っ越しする予定だという、4月から新社会人の、富田 珠祈さんに伺いました。
富田 珠祈さん(鹿児島県→神奈川県に引っ越し)「こんなに大変だったっけ」って思うぐらい大変です。
引っ越し業者に何件か問い合わせたら、お値段も結構高くて、日にちも4月を跨いでしまうって言われたので、自分たちでやろうって決めました。
鹿児島から神奈川県まで、自力で。
私は先に明日、飛行機で行って、ライフラインの契約とかをしていくので、後から父と母が車で横浜まで持ってきてくれる。
軽トラみたいな車を、父が仕事の関係で持ってるので、それに(荷物を)詰めて持ってきてもらおうっていう。
15時間かかります。運転好きなんだと思います。
富田さんはこれまで、鹿児島で一人暮らしをしていましたが、4月1日から神奈川県で教員として働くことが決まっています。でも、3月下旬は、どこも予約がいっぱい。繁忙期のため見積りも高く、なんと親御さんが車で運んでくれることになったそうです。
そして昨日、ご自身は先んじて神奈川に移動。そして後日、親御さんが冷蔵庫やベッドなどの家具・家電を積んで、車で来てくれるということです。
積みきれないものは、あとから宅配便で届くようにすると言っていましたが、この方のように、引っ越ししたくても、希望通り引っ越しできない人というのは、今年、全国的に増えているようです。
なぜなのか?その理由について、引っ越し業者の「中越通運」の相馬 鋼さんに聞きました。
「中越通運」営業部特殊運送課・ 課長・相馬 鋼さん今年は多いですね。
一つはやはり、今まで異動を控えていた企業様の異動が増加したことと、コロナが緩和されたことで、人の動きが良くなったっていうことがあるんじゃないでしょうか。
「短距離」は何とかできなくはないんですけど、「長距離便」ですとドライバーの人員の不足もありまして、お客様には「この時期は申し訳ないですけど…」っていうことで、お断りせざるを得ない状況です。
そうするとやはり長距離の引っ越しが非常に受けにくい。我々としても厳しいなと感じているところです。
<引っ越しのトラック(イメージ)>
コロナが5類に移行されたのが、去年5月。去年、異動を抑えていた企業が、一気に異動を再開させているようです。
さらに、この4月から懸念されているのが、「物流の2024年問題」。
来月から、働き方改革の一環で、「トラックドライバーの残業時間を、年間960時間に収めて下さいね」と、働く時間が制限されます。
ただ、トラックドライバーの労働環境が良くなる一方で、一日に抱えられる仕事量が減ってしまうので、ますます、「仕事を受けたくても、受けられなくなるかもしれない」と、業界では心配されているようです。
「引越ししたくても、引越しできない」状況、来年以降はさらに悪化する可能性があるということですが、今年はこうした状況を背景に、あるサービスの需要が、一気に高まっていました。
株式会社キュラーズ・マーケティング部 池田 大和さん引っ越し時の一時保管として、「トランクルーム」を利用される方というが非常に多くなる季節になります。
特に今年に関してはですね、「運送の2024年問題」ということで、引っ越し業者が見つからない。業者の方に6社、7社、問い合わせたけれども見つからず、緊急避難的にトランクルームを利用されるような方からのお声も非常に多くいただいている。
具体的に言うと、ベッドですとか、冷蔵庫、洗濯機ですとか、1畳1~2万円前後のサイズというのが多くご利用いただいている。
見積額が30万円以上になってしまったですとか。そういった方などは、なかなかそういった費用は難しいということで、費用が落ち着いたタイミングで、ご自宅に荷物を移動される。
引っ越し業者が見つからず、やむをえずトランクルームに預けるような人を含めて、利用割合が、去年より10%以上、増えているそうです。
今回、引っ越しに関連したさまざまな方にお話を伺いましたが、引っ越し作業員の待遇を改善して「人手不足」を解消したり、引っ越しの時期を「分散化」させることも大事になってきます。
横並びで、同じ時期に異動する文化も、見直す時期なのかもしれません。

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