自民党の二階俊博元幹事長(85)=衆院和歌山3区=が25日、都内で会見し、次期衆院選に立候補しないことを表明した。党処分に先立つ進退判断となり、安倍派幹部らの処分に影響を与えるのは必至だ。
二階氏は冒頭、手元の紙を読みながら「政治責任は全て監督責任者である私自身にある」と述べ、二階派の政治資金パーティー裏金事件に関して謝罪。「本日、岸田首相に対し衆院選に出馬しないことを伝えました」と、13回当選を重ねた衆院選への不出馬を宣言した。
その後の質疑応答では、同席した最側近の林幹雄元幹事長代理(77)があうんの呼吸で質問の大半を代理回答する異例の形となった。二階氏の85歳という高齢と不安定な発言を懸念したとみられる。
政倫審に出席しないのかとの質問に二階氏は林氏の方へゆっくり首をひねると、林氏は間髪入れずに「必要がないと自分で判断したので出席しませんでした。代わりに事務総長の武田(良太)議員が出席し、そこで話をしたとおりです」と説明。「離党の考えは」との質問を無視。記者が同じ質問を繰り返すと、林氏が「ありません」と食い気味に回答した。2019年の参院広島選挙区を巡る買収事件について聞かれると、無言の二階氏を尻目に林氏が「すべて党本部のお金。裏金ではありません」としゃべり出した。
一方、不出馬は高齢が理由かと問われると二階氏は「(衆院選に)年齢制限あるか?」と突然ドスの利いた声で威嚇。「おまえもその年がくるんだよ。バカヤロ」と記者をにらみつけた。党執行部の処分検討と不出馬は関係あるのかとの問いには「影響はない」。政界引退については「そりゃ地元の皆さんがお決めになること」と明言を避けた。
唐突な判断の背景には、選挙での非公認など党主導で重い処分を科されるのを回避するため先手を打ったとの思惑が透ける。また、区割り変更に伴う次期衆院選和歌山2区には、二階氏と折り合いの悪い安倍派幹部の世耕弘成前参院幹事長がくら替え出馬を狙っているとされる。世耕氏が非公認や党員資格停止になれば、後継争いからの脱落は必至―。参院関係者は今回の決断を「世耕氏封じの一手だ」と読み解いた。