早くも幻の存在になりつつある「チェルシー」、“意外な場所”で在庫発見し改めて現場に向かうも…

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「えっ、今行けばあるの?」
とかなりの驚愕の表情をした私。目の前には、うちの娘が誇らしげに差し出したあの袋が。そう、明治の「チェルシー」です。
思い起こせば今月頭、3月4日に「明治のチェルシーが3月末をもって終売になる」というニュースが全国に流れたのです。
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運悪く、その当日と翌日、私のスケジュール表には予定がぎっしり。ニュースの2日後にようやく、チェルシーを探しに出かける余裕ができたのですが、時すでに遅し。近所のコンビニ、スーパー、ドラッグストア、百均、ドン・キホーテなど15軒ほどのお店を回ったのですが、チェルシーはもうどこにも売っていません。
悔しいことに痕跡はあるのです。キャンディーの売り場に「チェルシーアソート299円」みたいに表示があって、その列だけ完全に空隙になっています。悔しいなあと思ったものです。
私も経済の専門家なので、こういった「思い入れのある商品が終売になる」とか「昔、よく行ったお店が閉店になる」といったニュースがあると、できる範囲内で行ってみたり、買ってみたりするのが習慣です。
多くの場合はそれなりに期間をあけて告知するケースが多いのですが、チェルシーの場合、月初に「今月末をもって出荷を終わります」と告知したものですから、それは売り切れるのも仕方ないでしょう。

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還暦を過ぎた経済評論家にとっては小学校の頃によく食べていたお菓子です。懐かしいといえば懐かしい。遠足のときにわざとチェルシーを持っていって、「あなたにもチェルシー、あげたい」と友達に言うのが流行しました。みんなノリノリでチェルシーを口にいれます。そのうち箱が空になるので、「あなたにもチェルシー、あげたいけどもうない」とか言ってふざけ合うのです。
まあそんな話を家族でして、「最後に食べてみたかったね」と話し合ったのです。
チェルシーが終売になったのは販売低迷が理由ということです。「硬い食べ物が若者に好まれなくなってきた」というのはトレンドで、時代はグミのような柔らかいお菓子に移りつつあります。
ノスタルジーの面からは残念ですが、企業は利益を追求するのが使命ですから、売れなくなった商品が終わるのは経済の側面から見れば当然です。
「終売だと聞いてあわてて買いに走るぐらいなら、もっと前から買えばいいのに」という正論もありますが、皆、一口、思い出として食べたいだけで、売上が低迷する商品を買い支えるだけの需要はありません。終売は仕方ない経済現象です。

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さて、その週末のことです。夕食の時間帯に娘が帰ってきました。冒頭のシーンです。
「おとうさん、売ってたよ」と言って差し出してきたのがチェルシーのバタースカッチの袋。都内某所のダイソーに売っていたというのです。
どこのお店か情報は控えさせていただきますが、確かに盲点というか、あそこのお店はお客さんはインバウンド中心で、日本人はそこでチェルシーを売っているのは気づかないのではないか、と思える立地のお店でした。
しかも娘が言うには「たくさん売っていた」というのです。ヨーグルトスカッチは売り切れていたけどバタースカッチとコーヒースカッチはそれぞれ10袋以上、売り場に並んでいたというのです。だったらなぜ1袋だけ買ってきた? と思いました。
「なんか急に、いろんな人にチェルシーをあげたくなってきた!」

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そんな時、私はグーグルマップで即座に検索する習慣があります。グーグルさんによればお店の閉店は21時。そして自宅から車で高速を飛ばせば28分。今、行動すれば閉店30分前にはお店に到着できます。
私は自慢ですが、行動力にだけは自信があります。こうして娘がチェルシーを差し出した5分後には、外出着に着替え、車に乗り込み、YOASOBIの音楽をガンガンかけながら都心へと向かっていたのです。
その30分後、息を切らせてそのダイソーの売り場にでかけてみると、売り場にはチェルシーの姿もかけらも見つかりません。店員さんに訊いてみました。「すみません、さっきまであったチェルシー、どうなりました?」。
するとかえってきた言葉が、「ああ、あっという間に売り切れました」でした。ああ、残念。
読者の皆さんにもチェルシー、あげたかった。でもチェルシーの出荷は3月末まで続きます。運がよければあなたも見つけることができるかも。

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Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「終売のチェルシー捜索」をテーマにお届けしました。

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