特殊詐欺グループの片棒担ぎ50億円マネロン 逮捕された42歳東大院卒 日本語学校創設者の素性

都心でタワマン暮らしの東大院卒42歳の日本語学校経営者が、特殊詐欺グループから振り込まれた約50億円を暗号資産(仮想通貨)にマネーロンダリング(資金洗浄)していた。
他人名義で暗号資産口座を開設したとして、大阪府特殊詐欺捜査課は12日、留学生向けの学習塾などを運営する「名校教育グループ」(東京都新宿区)代表取締役の豊原明容疑者(42)を詐欺容疑で逮捕した。
昨年12月、豊原容疑者は大阪府内の30代の男と共謀し、男の名義で暗号資産口座を開設した。豊原容疑者が管理する複数の口座には、特殊詐欺やロマンス詐欺グループが被害者からだまし取った多額の被害金が振り込まれ、50億円を暗号資産に交換。手数料として約3000万円を受け取っていたとみられる。
「豊原はSNSで名義を貸してくれる人物を募集し、それに応じたのが30代の男だった。国内で暗号資産口座を開設する場合、本人確認が必要だが、豊原は自分の名義ではなく、男の口座で取引をしていた。今年2月、男が豊原に名義貸ししていたことが分かり、逮捕して調べたところ、豊原の関与が判明した。豊原は他にもいくつもの暗号資産口座を管理していて、複数の詐欺グループから被害金が振り込まれていた。そこから一部を差し引いて、詐欺グループ側に送金していた履歴があった。それが50億円のマネロンの見返りだった」(捜査事情通)
調べに対し、豊原容疑者は容疑を否認している。暗号資産は秘匿性が高く、海外への送金が容易なため、マネロンに悪用されるケースが多い。
■中国、台湾でも事業を展開
豊原容疑者は中国福建省出身。17歳で来日し、東工大を経て東大情報理工学系博士課程修了。博士課程在籍中の2004年、理系の留学生を対象とした学習塾「名校志向塾」を開設し、09年に会社を立ち上げた。豊原容疑者の狙いは当たり、日本の有名大学に進学・留学したいという中国人富裕層のニーズに応え、会社は急成長を遂げた。
名校教育グループは都内で日本語学校2校を経営。日本の大学進学を目指す外国人向けの名校志向塾を日本、中国、台湾で11校展開。アニメやファッション、経理の専門学校も運営している。日本語学校学習コース(1年3カ月)の学費は101万3300円だ。
逮捕を受け、同グループは豊原容疑者を代表取締役から解任。HPで<報道によれば、豊原氏の逮捕容疑は、豊原氏個人の口座運用及び個人資産にかかわる容疑であり、当社の業務、豊原氏以外の役職員及び当社の口座・資産とは一切関係ございません>とコメントした。
豊原容疑者は2018年に新宿区にあるタワマン高層階の140平方メートル超の部屋を購入。事業がこれだけ拡大しても、自ら学生に教えることもあったという。グループ会社の社員は豊原容疑者の印象について「すごく優しくて、頭が良くて素晴らしい人だと思います」と話した。
日本に来て「一大日本語学校グループ」を築き上げたやり手カリスマ創業者が、なぜ反社会的勢力の片棒を担ぐような真似をしたのだろうか。

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