空港や駅などで見かける動く歩道をみなさんはどのように利用していますか。
「早く移動できるから歩いている」という人が多いかもしれませんが、果たして動く歩道を歩けば本当に早く移動できるのでしょうか。
そこで動く歩道にまつわる気になる疑問を、『一般社団法人エレベーター協会(以下、エレベーター協会)』に問い合わせてみました。
※写真はイメージ
エレベーター協会によると、動く歩道の歴史は1959年頃が始まりだそうです。
「協会の記録では 1959年の国際見本市(注1)の連絡通路用として設置されたとの記録があります。実用レベルでは、1967年に大阪の阪急梅田駅に設置されたのが国内初だと言われております。
また写真等の記録はございませんが、1970年の大阪万国博覧会(正式名称:日本万国博覧会)にも、パビリオン観客移動用として動く歩道が設置されたとの記録が残っております」
注1:見本市…商品の実物見本を展示・陳列し、紹介・宣伝しながら取引をする臨時市場(デジタル大辞泉)
動く歩道の始まりは、なんと65年も前! 現在では日常に溶け込んでいる動く歩道ですが、当初はイベントの連絡通路として利用されていたようです。
そんな動く歩道はどうして製作されるようになったのでしょうか。
「製作された理由については、明確な記録がありません。動く歩道のメリットを考慮すると、製作された要因は以下のようなものがあると考えられます」
・歩行に支障のある障害をお持ちの方や高齢者、幼児などの交通弱者の移動が楽になるから
・重い荷物をお持ちの方や一般の方が楽に移動できるから
・大規模空港内の移動でも需要があったから
動く歩道は、「早く移動する」ためのものではなく「楽に移動する」ためのもののようですね。
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そもそも動く歩道は歩いていいものなのでしょうか。エレベーター協会に聞いてみました。
「動く歩道は『立ち止まって乗る』ようお願いしています。エスカレーターと同じ理由になりますが、立ち止まって乗られている利用者の横を歩行されると、ぶつかって転倒やケガなどにつながる危険性があります。
利用者災害が発生した場合、歩行されていた方に賠償責任が発生する可能性もあると思われます」
動く歩道を歩くことは、大きな事故につながりかねません。どうしても急ぎたい場合は、通常の歩道を歩きましょう。
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とはいえ「楽に早く移動したい!」という人もいるかもしれません。そこでエレベーター協会に、動く歩道と通常の歩道、歩くとどちらが早いのか尋ねてみました。
「当協会では、利用者の方々の安全確保のためにも、動く歩道は「立ち止まって乗る」ようお願いしております。『動く歩道と通常の歩道を歩いた場合、どちらが早いのか』については検証を行っていないため、回答を控えさせていただきます。」
何よりも大切なのは乗っている人の安全です。そもそも「どちらが早いのか」と考えること自体が間違いだと思い知らされました。
みなさんも動く歩道を利用する際は、必ず立ち止まってくださいね。
[文・構成/grape編集部]