〈自民・チップ口移しパーティ〉役職辞任した“永田町きってのモテ男”中曽根康隆氏と“小沢一郎に勝った男”藤原崇氏、好対照な永田町での評判

昨年11月に自民党青年局近畿ブロックが開いた懇親会で、露出の多い女性ダンサーにチップを口移しで渡すなどの行為があった問題で、それぞれの所属する党の青年局長、青年局長代理を辞任した藤原崇氏(衆院岩手3区、当選4回)と中曽根康隆氏(同群馬1区、当選2回)。謝罪会見では「(女性ダンサーに)触っていない」と強調したが、「今の認識では」と留保をつける姿に「触ったのでは」とあきれの声も上がる。そんな2人の素顔とは。
「チップ口移し過激パーティー」が明るみになった3月8日、記者から「女性の体に触ってはいないという認識か」と問われ、「はい」と即答した藤原氏と、隣で大きくうなずいた中曽根氏。ともに、自民党の45歳以下の国会議員や地方議員、党員ら計20万人で構成される青年局の局長と局長代理という幹部だった。「余興の内容をまったく知らされていなかった」(青年局が11日に出したコメント)とはいえ、こうした立場で懇親会に出席していながら、水着のような露出の多い衣装を着た女性たちのダンスや、口移しでのチップ渡しを止めなかった2人の評判はというと……。まずは、「触っていたら議員辞めますか」という記者の質問に「当時の記憶の中では触っていないです。ただそれについて『今の記憶で』というのと、万が一のとき、議員辞職ということは非常に重い話ですので、記憶違いなどが万が一あったときに、すべてを無にする話ですので……」としどろもどろの回答をした藤原氏。自民党が民主党から再び政権を取り戻した2012年初当選の「魔の4回生」で、初当選同期には、「未成年パパ活」疑惑の吉川赳氏や、裏金問題で逮捕された池田佳隆氏らがいる。2012~2017年までの3回は小沢一郎氏に負けて比例復活だったが、2021年には小選挙区で初当選。小沢氏は18回目の当選にして初めて比例復活の屈辱を味わった。
藤原崇衆院議員(本人Facebookより)
「藤原氏についてめぼしい話題はそれくらい。弁護士資格をもち、安倍派に所属していましたが、とくにパッとする存在感があるわけでもなく、でも特段の悪い評判も聞かなかった、という議員です。それでも昨年、安倍晋三元首相や岸田文雄首相も若いころに務め『若手の登竜門』とされる青年局長となりました。青年局が最近注目されたのは今年1月、裏金問題をめぐって全国の青年局メンバーから意見を聞き取り、首相に申し入れをしたとき。『政治の信頼回復のために、踏み込んだ改革を』などと求めていましたが、自ら信頼回復を遠のかせてしまいました」(全国紙政治部記者)まことに不名誉なネタで、一気に全国的知名度を得てしまった藤原氏だが、永田町では「大物同士の争いの巻き添えになった」と同情にも似た声も上がる。「過激衣装の女性ダンサーを招いた和歌山県の川畑哲哉県議は、世耕弘成前参院幹事長の元秘書。パーティーには近畿地方の県議など一部の関係者しかいなかったこともあり、『二階俊博元幹事長に近い人物が、世耕氏側の力をそごうとして写真をリークしたのでは』とささやかれています。世耕氏が二階氏の選挙区での衆院鞍替えを長年狙ってきたことは有名ですしね。過激パフォーマンスを止めなかったことは問題ですが、無名の藤原氏が、自分の地元でもない和歌山で、大物同士の争いに巻き込まれてしまったのでは、と同情の声も上がっているんです」(自民党関係者)
一方、記者会見では隣に立つ藤原氏の「当時の記憶の中では触っていない」との釈明を、神妙な面持ちで聞いていた中曽根氏。中曽根康弘元首相を祖父に、中曽根弘文元外相を父にもつ「3世」だ。嵐の櫻井翔とは慶應義塾幼稚舎時代からの親友で、中曽根氏の結婚式では櫻井がビデオメッセージを寄せたことも話題になった。自民党関係者は「誰もが知る家柄と、長身とさわやかな印象で、永田町きってのモテ男。結婚前には『俺の名前をネットで検索すると、元カノの名前も一緒に出てくるから、新しい彼女が嫉妬するんだよ~』と周囲にぼやいていたこともあります。彼は以前にも、ミニスカートなどセクシーな服を着た女性2人と肩を組んで赤ら顔で写っている写真を、ガーシーに晒されたこともあります」と語る。中曽根氏は、2018年に中小企業の社長令嬢と結婚。2020年には男女の双子が誕生し、「超党派ママパパ議連」にも出席するなど、よきパパとしての顔も見せていた。
中曽根康隆氏の慶應幼稚舎時代から親友の嵐・櫻井翔(写真/共同通信社)
「中曽根氏は妻とのツーショットもときどきSNSにアップ。選挙中も、妻が中曽根氏の隣でかいがいしく頭を下げる姿を目撃しました」(群馬県関係者)ただ、政治家としては今回の騒動の直前に足元が揺らぐ事態も。2月に中曽根氏の地元・前橋市で行われた市長選では、かつて中曽根家が旧群馬3区で争っていた福田家に近い現職の支援を十分にしなかったとの不満が地元から噴出。「中曽根系」が本気を出さなかった影響もあったのか、「自民王国」群馬県の県都・前橋市長の座を野党系にゆずる事態となった。「中曽根氏は、これまで選挙期間中には父・弘文氏とともに集会であいさつするなど、中曽根ブランドを存分に生かして活動してきました。ただ、そんな“ボンボン”ゆえのおごりもあったことが、今回の一件につながってしまったのでしょうか」(全国紙政治部記者)
中曽根康隆衆議院議員(本人Facebookより)
この一件に関して3月13日の国会で、立憲民主党の塩村文夏議員より「こうしたセクシー過激ダンス懇親会の意義は多様性ということでした。総理の目指す多様性と一致をしているのか」と問われ、岸田首相は「言うまでもなく、私、そして私の内閣の目指す多様性とは全く合致いたしません」と切り捨てた。派閥の裏金問題で首相に手渡した申し入れ書には「各議員の厳正な政治倫理の確立こそが信頼を回復する基盤」と書き込んでいた青年局。彼らにこそ、厳正な政治倫理を持ってもらいたい。取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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