ロシア空軍は「今がチャンス」と判断した?
ウクライナ空軍は2024年3月2日、ロシア空軍のSu-34戦闘爆撃機を2機撃墜したと発表しました。ウクライナ国防省は2月29日、同月中旬から下旬にかけて13機のロシア軍機を撃墜したと明らかにしており、3月に入ってからの戦果報告を合わせると、約2週間で計15機のロシア軍機が失われた可能性があります。
ロシア空軍、リスク覚悟で捨て身の攻勢?約2週間で15機も喪失…の画像はこちら >>ロシア空軍のSu-34戦闘爆撃機(画像:ロシア国防省)。
撃墜された機体の内訳は、Su-34戦闘爆撃機が12機、Su-35S戦闘機が2機、A-50早期警戒管制機が1機です。撃墜が確実であれば、ロシア空軍にとってはかなりの打撃です。ウクライナ軍は、ロシア軍機をどのように撃墜したのかについては明らかにしていません。 Su-34やSu-35は、ロシア軍がウクライナ方面に展開している軍用機の中では新しい方に入ります。Su-34は滑空爆弾を投下して航空支援を行っており、ウクライナ地上軍を苦しめています。Su-35は第4++世代に相当する新鋭戦闘機です。A-50は、Su-34やSu-35以上にロシア空軍にとって重要な機体で、背中に円盤型のレーダーを搭載した空の司令部として、航空戦などに不可欠の存在です。 アメリカのシンクタンク・戦争研究所(ISW)は2日、「ロシア軍がウクライナ東部のアウディイウカ~ドネツク線沿いで戦術的な利益を追求するために、継続的な航空機喪失の危険を冒すつもりのようだ」と分析。「ロシア軍は航空支援による継続的な攻撃作戦の方が、さらなる航空機の喪失リスクを上回ると判断した」と推測しています。西側諸国による軍事支援の遅れでウクライナ軍が苦境に陥る中、ロシア空軍は活動を活発化させ、戦果の拡大を狙ったとみられます。 戦争研究所によると、ロシア空軍はアウディイウカ攻略戦の最終段階で、一時的に局所的な制空権を獲得し、ウクライナ侵攻で初めて地上部隊への近接航空支援に成功したそう。その局所的な航空優勢を再度確立しようとしていると指摘しています。 ただ、ロシアが保有するスホーイ(Su)系列の戦闘機は約300機で、約2週間で喪失した15機の航空機と高度な訓練を受けたパイロットの損失は無視できるものではないとの見解を示しています。