【安藤優子の本音】経団連会長発言が夫婦別姓制度導入後押し

やっぱり経済界が動かないとダメなんですよねって思ったのは、経団連の十倉雅和会長が記者会見で選択的夫婦別姓制度の導入について「私個人はやるべきだと思う」と発言したことです。しかも政府に「一丁目一番地としてやってほしい」と、かなり踏み込んで注文をつけたのです。
そもそも、この選択的夫婦別姓制度については、30年以上も前からたなざらしにされてきた経緯があって、国会に提出すらされていないのです。その間、国連からも「人権問題」として複数回にわたって「改善」の勧告を受けています。
反対の意見の典型は「子どもの名前」の混乱や、「家族のかたちが壊される」というものですが、子どもがどちらかの親の姓を名乗ったからといって、きちんと法整備をすれば混乱も避けられるはずですし、同じ姓を名乗りたいのであれば「選択的」ですから、もちろんそれも自由です。
名字が違っているからという理由だけで「家族ではない」ということは起きにくいし、むしろ「同姓」を名乗らざるを得ないことによる不便さで婚姻を選ばない方が問題だと考えます。
財界がかつての中曽根行革を後押ししたように、今回の発言も岸田文雄政権は無視することはできないでしょう。そういう意味では、十倉会長の発言は大きな歯車を回すに足りるパワーを持っていると思います。
が、一つだけ残念なのは、夫婦同姓による不利益が「経済活動」に限らないことに言及していただきたかったなと。個人の名前の選択の自由は、個人の人権の尊重にほかならないのです。婚姻のかたちも変化しています。個人が自分の生き方をきちんと選びとることができる、風通しのよい社会の在り方を実現していくためにも、今回の十倉会長発言が一つのきっかけとなっていくことを期待しています。(キャスター・安藤優子)

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