沖縄科学技術大学院大学(OIST)は28日、水中ドローンで採取した海水にごく微量含まれるDNAを分析する「環境DNA」という手法で、深場に生息する造礁サンゴの分類が特定できるようになったと発表した。論文は英国王立協会の学術誌に掲載された。
OISTは東京大学と、サンゴが海中に放出する粘液などからDNAを解析し、サンゴ礁の属を判別する調査方法を開発。2021年から本島周辺の62地点に生息するサンゴの属を探る調査をしてきた。
こうした調査に活用してもらおうと、NTTコミュニケーションズが研究用の水中ドローンを開発。コントローラーとドローンを結ぶケーブルを300メートルに延ばし、サンプルの海水を採取する筒も取り付けた。
従来はダイバーが潜って採取していたため、浅瀬の海水しか採れなかったが、水中ドローンで深場でも採取できるようになった。22年5月に慶良間諸島で行った調査では、最も深い所で水深約80メートルの海水を採取した。この結果、15メートル以下の浅い部分ではミドリイシ属が多く検出され、他の属は20メートル以上の深い岩礁でよく検出されたという。
OISTの佐藤矩行教授は「水中ドローンを使って深場の海水採取もできるようになり、沖縄のサンゴ礁の全体像がつかめる可能性が出てきた」と話した。(社会部・塩入雄一郎)水中ドローンで環境DNAを採取 深場に生息する造礁サンゴを海…の画像はこちら >>
NTTコミュニケーションズが開発した水中ドローン(OIST提供)