UAVや水中ドローンの母船にもなります。
JAMSTEC(海洋研究開発機構)は2024年2月22日、建造中の北極域研究船の船名が「みらいII(ツー)」に決定したと発表しました。
同船は海氷の減少などの急激な環境変化が進み、地球全体の気候・気象変動に大きく影響を及ぼしているとされる北極域において、国際的な研究プラットフォームとして活用可能で、かつ十分な砕氷機能と世界レベルの観測機能を備える船として建造されているものです。
大きさ1万トン超え! 日本初の砕氷研究船「みらいII」に名前…の画像はこちら >>2026年度に竣工・引き渡しを予定する北極域研究船「みらいII」のCGイメージ(画像:JAMSTEC)。
主要目は、全長が128m、全幅が23m、深さが12.4m、喫水は8m、総トン数は約1万3000トン(国際総トン数)で、乗員は99名。砕氷能力は厚さ1.2mある平坦1年氷を、船速3ノット(約5.56km/h)で連続砕氷可能なレベル、耐氷能力は、IACS(国際船級協会連合)が定めた「多年氷が一部混在する厚い一年氷がある海域を通年航行可能」なレベル、いわゆる「ポーラークラス4」を計画しています。
また研究・観測用に、船には大型の気象レーダーやドローン(UAV)、無人潜水艇(アンダーアイス・ドローン)、遠隔操作型無人潜水機(ROV)、堆積物を採取するための「ピストンコアラ―」と呼ばれる採泥器、海水を採取するための採水器(CTD)などを備えるそうです。 今回、船名が「みらいII」に決まった理由としてJAMSTECは、本船が現在運用中の海洋地球研究船「みらい」から北極域を含む調査・観測活動を引き継ぐ予定であること、これまで「みらい」で培われた海洋地球観測に係る国際的な貢献・認知度からの継続性、さらには、本船が、北極域、ひいては地球環境全体の「未来」への貢献を目指すことを挙げています。 他方で、JAMSTECは老朽化等を鑑み、2025年度をもって海洋地球研究船「みらい」の運用停止を決定したとのこと。そこで、新造船には船名に「II(ツー)」を付与することで、国際研究プラットフォームといった新たなコンセプトや砕氷能力などを持つ本船と区別するとしています。
今後、JAMSTECは北極域研究船「みらいII」と呼称し、英語表記は、Arctic Research Vessel(ARV)「Mirai II」になるそうです。
なお、「みらいII」は、現用の「みらい」を引き継ぐ本船が円滑に調査・観測活動を開始できるよう、完工・引渡しは2026年秋ごろの予定としています。