〈過去最低の支持率14%!〉「#確定申告ボイコット」「“裏金”政倫審は出席者わずか5人」「旧統一教会の逆襲」で三重苦…それでも“意外と元気”な岸田首相が企む起死回生の一手とは?

各社の世論調査で、14%(毎日新聞)、24%(読売新聞)、21%(朝日新聞)と、軒並み過去最低の支持率を記録している岸田政権。2月16日から始まった確定申告をめぐっては、裏金問題への不信感からSNS上で「#確定申告ボイコット」のハッシュタグが拡散。政治倫理審査会への出席を表明した議員が安倍派や二階派の一部にとどまっていることにも、批判の声が高まっている。さらに、盛山正仁文科相の旧統一教会との接点も次々と判明。それでも「意外と元気」な首相の起死回生の一手とは・・・・・?
「#確定申告ボイコット」そんなハッシュタグがSNS上で拡散したのは、確定申告が始まった2月16日前後。その直前の14日の衆院予算委員会では岸田文雄首相が「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と述べたことで、ネット上では「自分たちは裏金をつくって、その分を納税していなかったのに、国民にだけ納税をさせるのか」と反発が強まった。「私は会社勤めの傍ら、自分でも事業をしているので、e-Taxで確定申告をしましたが、入力した値が1円でもずれていると先に進めなかったりして、1日がかりでしたよ。裏金の使い道を『不明』で済ませている議員に怒りがわいてきました」(確定申告をすませた30代男性)
2月16日から確定申告がスタートしたが…
この前後に実施された報道各社の世論調査では、軒並み10%台~22%前半と、岸田政権発足以来の最低支持率を記録。とくに毎日新聞では不支持率が80%を超えており、これは毎日新聞が世論調査で内閣支持率を質問し始めた1947年7月以来、初だという。そしてこの間、国民の怒りを買ってきたのが、裏金問題が取りざたされた議員について審査する政治倫理審査会への出席をめぐる自民党の対応だ。野党側は、衆院政倫審では51人、参院政倫審では32人の出席を求めたが、これまでに出席の意向が示されたのは、安倍派の西村康稔・前経産相や高木毅・前国会対策委員長、二階派で事務総長を務めた武田良太氏など一部のみ。2018~2022年の政治資金収支報告書の不記載額が2728万円にのぼった萩生田光一・前政調会長や、不記載額が3526万円の二階俊博元幹事長らは、現時点で出席しない見込みだ。「表向きは、本人が出席する意向を示した場合のみ出席ということになっていますが、党執行部が『事務総長を務めていた人』などの基準で線引き。当初、出席に難色を示していた高木氏も直近まで事務総長を務めていたことから、しぶしぶ出席することになりました。若手の中には、『政倫審に出席して堂々と説明したい』という議員もいますが、あまりに多くの議員が出席すると、何を言い出すかわからないリスクもあります。検察審査会で今後、安倍派幹部らへの不起訴処分が妥当だったかの審査が見込まれる中、余計な発言で足元をすくわれることは避けたい自民党は、弁護士も交え、政倫審で何を話すか入念に準備しています」(全国紙政治部記者)
政倫審にしぶしぶ出席する高木氏(本人SNSより)
一方、自民党執行部の「線引き」に救われたのか、何事もなかったかのように日常に戻っている裏金議員もいる。一連の裏金問題で最高額となる5154万円の虚偽記載をしたとして在宅起訴された大野泰正参院議員は、地元の会合にノコノコ顔を出しているという。
裏金5000万円超の大野議員(本人SNSより)
「辞職もせず、離党だけという身の処し方に、地元はあきれています。呼ばれているわけでもないのに、地元の会合にはノコノコと顔を出す一方で、出席を求められた政倫審には出席せず、ほとぼりが冷めるのを待っているんでしょうか」(地元関係者)安倍派や二階派だけでなく、岸田首相の足元でも問題は山積みだ。衆院予算委員会では、盛山正仁文科相が旧統一教会側から推薦状を受け取ったことなどを野党から連日追及され、20日には不信任決議案が採決。否決されたが、一連の質疑では盛山氏の答弁の不安定さが明るみに出た。「岸田派の盛山氏は、当選5回で初入閣。入閣前までは、国会運営の調整にあたる衆院議院運営委員会の与党筆頭理事を務めていた『入閣待機組』だっただけに、旧統一教会との接点を正直に申告して入閣が見送られる事態は避けたかったのでしょうか。今回、自身が追及される事態について『(教団側が)ゆさぶりをかけてきている』と発言したことも、開き直りのように聞こえて余計でした」(全国紙政治部記者)
自民党本部
ただ、教団側の「ゆさぶり」には自民党も心穏やかではないようだ。「今回、旧統一教会側が盛山氏に推薦状を渡したことなどを朝日新聞が報じたのは、旧統一教会の関係者が朝日新聞に、証拠となる写真や資料を提供したからだとみられています。自民党の中には、旧統一教会との関係を正直に申告していない議員もまだいると言われています。『次は誰がターゲットになって関係を暴露されるか』と、戦々恐々としている議員は少なくないはずです」(自民党関係者)
国民の確定申告ボイコット、政倫審をめぐる対応、旧統一教会問題・・・・・・。いわば「三重苦」の首相だが、「支持率低下を気にする様子もなく、意外と元気」(自民党関係者)だという。それは今秋の総裁選での再選に向けて、着々と解散戦略を描いているからかもしれない。永田町では今、6月の通常国会会期末に合わせた解散のほか、4月の3補選に合わせた解散もささやかれている。
意外と元気?…(首相官邸SNSより)
「島根1区は細田博之・前衆院議長の弔い選挙ですが、細田氏は晩年に旧統一教会との関係や、セクハラ疑惑が持ち上がっていたことから、楽な戦いではありません。立憲の女性候補も元職で知名度はあります。東京15区は柿沢未途・前衆院議員の『政治とカネ』問題による辞職に伴う補選。ここでは維新の女性候補が落選も経験しながら長らく地元で辻立ちの活動を続けており、自民にとっては手ごわい相手となるでしょう。長崎3区は裏金問題をめぐって谷川弥一・前衆院議員が辞職したことに伴う補選ですが、こちらも東京15区と同様、第一関門の候補者選定が難航しています。下手したら『全敗』もあり得ますが、首相としてはここで解散に打って出ることで、3補選での苦戦をカモフラージュすることはできます」(全国紙政治部記者)自民党議員からは「これだけ支持率が低迷するなら、昨年の広島サミットの直後に解散しておけば……」との恨み節も漏れるが、首相にとっては、解散カードを温存したことが吉と出るか凶と出るか…。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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