「特に悪質」豊田自動織機エンジン3モデル“形式指定取り消し”へ 認証不正で基準満たさず トヨタ車は一部出荷停止中

豊田自動織機のエンジン認証不正問題で、国土交通省が“形式指定の取り消し”という厳しい処分を下します。この不正問題に関連し、一部車種が出荷停止となっているトヨタ・日野の自動車用のエンジンも、別途、適合確認が進められています。
「特に悪質な不正行為が行われたとされる、3機種の型式指定の取り消しの手続きを行う。二度と不正行為を起こさない抜本的な改革を促し、是正命令を発出する」
斎藤鉄夫国土交通相は2024年2月22日(木)、豊田自動織機が続けた型式指定申請に関する立入検査の結果について、厳しい視線を向けました。豊田自動織機が生産するフォークリフト用エンジン、建設機械用エンジンなどの一酸化炭素等発散防止装置の型式取消しを決め、同社に対して不利益処分の聴聞手続きを行います。
「特に悪質」豊田自動織機エンジン3モデル“形式指定取り消し”…の画像はこちら >>国土交通省物流・自動車局長から是正命令を受ける豊田自動織機・伊藤浩一社長(中島みなみ撮影)。
一酸化炭素等発散防止装置は環境規制に適合させるため、産業機器などの用途、ガソリン、ディーゼルなど燃油の種類に関わらず広く採用される重要な装置です。物流・自動車局は同社のほかエンジンの供給を受けているトヨタ自動車、日野自動車への立入検査を実施し、型式取消の対象となる装置では、特に悪質な不正行為が行われたと判断しました。
豊田自動織機はフォークリフト用ガソリンエンジンの「4Y」と「1FS」の一酸化炭素等発散防止装置の型式取得の過程で、試験用エンジン制御ソフトを不正に書き換えた上、商品化する装置とは違う制御方式の装置を使っていました。また、建設機械用ディーゼルエンジン「1KD」では、「4Y」や「1FS」と同じ手法を用いて型式を取得しましたが、さらに市場投入したエンジンで排出ガス性能が保安基準に適合せず、NOx(窒素酸化物)が超過していることがわかりました。
型式指定取消しの対象となるエンジンは現行生産され、同社のフォークリフト、建機などに搭載されています。同社はすでに法規違反を確認し、国内出荷を取りやめています。
型式の取消しは、2月29日の聴聞を経て正式に決定しますが、対象となる「4Y」「1FS」「1KD」エンジンを搭載した産業・建設用車両でも、取り消しの日までに生産されたものは取り消しにはなりません。今後、車検が必要な車両については車検までに改善し、小型特殊、大型特殊に該当する車両については、豊田自動織機による改善を経て、各自治体が判断します。
一方、国交省物流・自動車局は同日、不正を行った同社に対して、是正命令書を伊藤浩一社長に手渡しました。不正の是正と企業体質についての改善を求めるものです。
また、同社がトヨタ自動車の「ハイエース」「ランドクルーザー」、日野自動車の「ダイナ/デュトロ」などに供給する自動車用エンジン「1GD」「2GD]「F33A」については、型式申請者のトヨタ自動車と日野自動車に対して、国交省として適合性の確認が進められています。

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