「ケンちゃんにはお金を任せられない」金庫番の姉が懸念したボンボン夫は過去に自己破産も。「下着の組み合わせが気に入らない」と自宅に放火したヤバすぎる妻は我が子と母の骨壺もゴミと共に…〈浅草・4歳児殺害〉

東京都台東区でホテルを経営する細谷健一(43)と妻の志保(37)の両容疑者が昨年3月、次女の美輝ちゃん(当時4歳)を毒殺したとして警視庁に殺人容疑で逮捕された事件で、児童相談所で保護されていた子どもたちの“奪還”に志保容疑者の父親が協力していたことがわかった。しかし志保容疑者は父親ともすぐに対立、「児相に変なしつけをされた。もう自分の子ではない」と逆恨みから芽生えた殺意を周囲に漏らすようになっていた。
志保容疑者は2019年3月、夫婦げんかをこじらせ自宅マンションのベランダに放火して逮捕され、かねて動向を注視していた東京都児童相談センターが3人の子どもの保護を決定した。その夫婦げんかの原因は驚くほど些細なことだったという。夫婦の知人がこう証言する。「あの一家は頻繁に『M』というスパランドに出かけていたのですが、その際に健一が志保のために用意してあげた下着の組み合わせが気に入らないと怒り出したのが原因ですよ。志保は激昂のあまり、鍋に割り箸を組み上げて油を張って点火し、さらにその上に洋服を吊るしていた。結果的にボヤで済んだので不起訴処分にはなりましたが、当然警察も動きましたよ」
志保容疑者(撮影/集英社オンライン)
なんとも迷惑な話だが、そもそも頻繁にスパを利用していたのも、この夫婦の自堕落ぶりを象徴するような理由だった。知人が続ける。「自宅の浴槽が壊れていて、それを一向に修理する気配も見せないんですよ。志保だけじゃなく健一もそもそもズボラで、時間にもルーズだし、2人とも子育てができるようなタイプではなかったと思います。子どもを可愛がっていたという話もありますが、それ以前に部屋の片付けも自分でできないわけですから。部屋はゴミ屋敷のようになっていて、エレベーター前にもガラクタのような物が積み上げられていました。夫婦揃って家事も子育てもしないし、健一は志保に支配されているようなフシがありました」
ゴミ屋敷だった細谷家(知人提供)
知人は健一容疑者とは仕事上の付き合いもあり、細谷夫婦の「異常な関係性」を熟知していた。「健一自身、ふだんは仕事についてもいっぱしの話をするんですが、最終的な判断は『志保に聞いてみないと』とよく言っていました。その志保の“判断”も、昨日と今日ではガラッと変わるようなことがよくあったそうです。私も志保と会ったことはありますが、周囲から“ヤバい奴だ“という話を聞いていましたから関わりたくなかった。放火騒ぎだけじゃなく、ふだんから夜中にドタバタ音をたてたり、大きな奇声を発してはマンションの住民から苦情が出ていたようです。さすがに放火騒ぎのあとは健一も離婚を考えたと聞いていたけど、結局別れられなかったんでしょうね」
この放火事件はボヤで済んだこともあり、志保容疑者も起訴を免れた。そして、児相に“奪われた”我が子を取り戻すため、実父に協力を仰いだのだという。知人が続ける。「志保の両親は離婚して、父親は北海道に残っていたんですが、娘に頭を下げられて上京してきたんです。というのも、児相が子どもたちを戻す条件として監護者をつけるよう求めたからです。子どもたちの命を危険にさらした健一・志保夫婦から子どもたちを守る役目を、志保の父親が担ったわけです。この交渉には先日、健一のことを『優しくていい人』と散々持ち上げた柿原幹子弁護士(#4参照)が入り、2020年の9月までに3人の子どもを順次、『取り返す』ことができた。細谷家からすれば子どもたちを『無事に取り戻した』ことになりますが、これが結果的に美輝ちゃんが命を落とす決定打になった。そして、“奪還”に協力した志保の父親もわずか数ヵ月で細谷夫妻の無軌道ぶりに嫌気がさして、北海道に帰ってしまったんですよ」
健一容疑者を「優しくていい人」と語った柿原弁護士(撮影/集英社オンライン)
柿原弁護士が絶賛した健一容疑者の「優しさ」について、別の知人はこう解説する。「健一は優しいというのとはちょっと違う気はしますが、自分に尻尾をふってきたり、自分にとって都合のいい人間に対してはいい顔をするので、“害はない”というのが正しいと思います。約束時間に平気で2~3時間、遅れてくるし、金遣いも荒くて経営者としての能力もない。本人は『亡くなった父親の遺志を継ぐ』とかそれっぽいことを言っていましたが、実際はノープランで行き当たりばったりでした。ボンボンの発想で、金なんていくらでも湧いて出てくると思っていたのでしょう。家賃収入も毎月200万円以上ありましたが、あの金遣いではすぐになくなっていたと思います」炊事などほとんどすることなく、毎日外食し、風呂が壊れていることを理由に頻繁にスパで遊興ざんまい。実際に健一容疑者は過去に自己破産したことがあるという。この知人が続ける。「過去に自己破産しているので、今もクレジットカードを持てずデビットカードを使っていますが、自分でいくら使ったかも把握できないんです。あまりに計画性がないので私も『このままだとそのうち路頭に迷うよ』と注意したのですが、『それならそれでいい』と家族持ちとは思えない発言をしていました。そのくせ、自分に対しては『お金しかない』という自覚もあって、初対面の人にやたらと自分にカネがある素振りをしていました。自分の子どもを可愛がっていたという報道も見ましたが、私にはそうは見えませんでした。長男の名前を呼んで怒鳴り上げているところも見たことがあるし、食事も『いつもコンビニのチキンを与えている』と言っていたぐらいですから」
逮捕された健一容疑者(撮影/集英社オンライン)
志保容疑者については、この知人はこう語った。「基本的に自宅の寝室にこもってベッドの上でスマホをいじっているという印象です。家事も子どもの世話もせず、ネットショッピングばかりやっていました。化粧品とか美容機器、掃除もしないのにダイソンの掃除機を買っていました。あとはキャラクターが好き。ある時期はキティちゃんにハマっていて、ちょっと前は、ちいかわです。ちいかわのTシャツやグッズが部屋に溢れていましたが、あれは子どもたちが好きなんじゃなくて志保が好きなんですよ。志保は小学校のとき両親が離婚して、母親と貧乏暮らしをしていたと聞いています。金遣いに関しては、健一とはまた違う感覚で、金を使うこと自体を楽しんでいたような気がします」
乳児を抱きかかえる志保容疑者(撮影/集英社オンライン)
ゴミとキャラクターグッズに溢れる家のなかで暮らしていた志保容疑者は、自身を生んだ母だけでなくお腹を痛めて産んだ娘の供養もろくにしていなかった。「私の知人が、美輝ちゃんが亡くなったあと細谷夫妻の自宅を片付けているのですが、散乱したゴミの山に埋もれるように、骨壺が2つあったそうです。小さい骨壷が美輝ちゃん、大きいほうが志保のお母さんの骨壺だったそうです。父親と離婚してから一緒に暮らしていたお母さんに対しては、志保は特別な思い入れがあったと思っていただけに、骨壷をゴミの中にというのは……。これとは別の話で、志保の長女が兄である長男の顔をひっかいて怪我させたことがあって、それを見ていた志保は『悪魔のような性格で美しい子』と喜んでいたそうです」
志保容疑者の実家を捜査する捜査員
母親の骨壺はその後、志保の実家となるアパートに無造作に置かれていたことは#5でも報じた通りだ。知人は、2018年4月に41歳で亡くなった健一容疑者の姉についても、ある疑念があるという。「私はお姉さんに関しても志保の意思が強く働いていると思います。当時お姉さんはホソヤ産業の経理を務めていて、『ケンちゃんにはお金を任せられない』とよく言っていました。その後に同社の創業者のお父さんが亡くなって、健一ともう一人のお姉さんが遺産配分をめぐって揉めたという人もいたのですが、結果的にはわずかに健一の取り分が多い形で双方納得して受け取っています。ですが、あのとき、志保が健一を煽っていたのは間違いありません。当初、相続のことなど何も気にしていなかった健一が、『姉が遺産を多く取ろうと画策して動いている』と言い出すようになりましたから。こんなふうに、さまざまな場面で志保の意思が働いているんですよ」自分の身の回りの世話も満足にしない自堕落な夫婦。子どもがいなければ身上を食い潰すだけで終わったはずだったろうに、最悪の結果を生み出してしまった。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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