「鳥が入っています。ダメだったら、捨てても構いません」
羽田空港の税関で職員が洋酒の箱を手にした瞬間、観念したのか、ペットショップ経営者の男はこう白状した。
無届けでタイからインコなどの小鳥や果物のマンゴスチンを密輸したとして、警視庁生活環境課は16日までに、感染症法違反や植物防疫法違反などの疑いで、東京都板橋区の鳥類専門店「ペットショップアイランド」を経営する関口正幸容疑者(69)を逮捕した。
関口容疑者は昨年8月、「マメルリハインコ」や「キビタイコノハドリ」など、国への届け出が必要な小鳥4種類7羽と、輸入が禁止されているマンゴスチン33個をスーツケースとトートバッグに分けて入れ、タイ発の飛行機で羽田空港に持ち帰った。
「小鳥は洋酒の箱や段ボール箱に入れられ、中には緩衝材代わりに新聞紙が詰められ、窒息しないよう穴が開いていた。税関職員が箱を手に取った際、軽いことに気づき、箱を開けたら小鳥が次々と出てきた。関口は過去にも小鳥を密輸しようとしてバレたことがあり、税関から目を付けられていたようです」(捜査事情通)
関口容疑者は調べに対し、「鳥はきれいなので繁殖させようと思った。マンゴスチンはおいしいのでお土産にするためだった」と供述しているという。
鳥類の国内への持ち込みは鳥インフルエンザなどの感染症を広げる恐れがあるため、国の許可や検査が必要となる。マンゴスチンは害虫が付着している可能性があり、タイからの輸入は禁じられている。
関口容疑者が密輸した小鳥7羽のうち6羽は、ワシントン条約による取引規制の対象。警察は、関口容疑者が同様の手口で密輸を繰り返していたとみて調べを進めている。
ペットショップアイランドのSNSは<自家繁殖や独自の仕入れルートで珍しい鳥をそろえた小鳥専門のお店です>とアピール。先月10日に生まれたばかりのマメルリハインコを1万8000円、タイから昨年輸入したという大型のインコ「キバタン」は80万円で販売していた。
「独自の密輸ルート」はどれくらい開拓されていたのか。