“シャーシャー猫”限定「最強の保護猫譲渡会」が大バズ!「心を開いてくれる瞬間がたまらない」の声。保護猫の殺処分は10年で10分の1も、主催者は「データ上では減ったように見えますが…」

保護猫団体が開催する譲渡会で、新たな家族を“お迎え”することも一般的になってきたなかで、警戒心が強くすぐに人間を威嚇する、いわゆる“シャーシャー猫”だけの譲渡会が2月23日(金・祝)に開催される。この一風変わった譲渡会を企画した保護猫カフェ「ねこかつ」の代表に開催に至った経緯について聞くと、保護猫団体が抱える厳しい現状が浮かび上がってきた。
「集え!強者たちよ! 最強の保護猫譲渡会開催のお知らせ!」1月8日、埼玉県川越市と大宮市で保護猫カフェを運営する「ねこかつ」が、X(旧Twitter)に上記の文言から始まる「最強の保護猫譲渡会」と名付けられたイベントの情報をポストすると、牙をむいて威嚇する猫の写真が並べられた譲渡会ポスターのインパクトも相まって、約400万回も表示されるなど(2月中旬時点)、大バズリ。「最強の保護猫譲渡会」とはつまり「人に慣れていないシャーシャー猫だけの譲渡会」のことで、この試みは「すげぇ興味ある!」「ぜひ成功してほしい」など多くのXユーザーから賛同を得ている。
愛猫家にさえ敬遠されることもあるシャーシャー猫。なぜこれに特化した譲渡会を開くことになったのか。保護猫カフェの運営のほか、毎週末に譲渡会を開催している保護猫団体「ねこかつ」の代表、梅田達也さん(51)にその理由を聞いてみた。――まず、「シャーシャー猫だけの譲渡会」の開催に至った経緯を教えてください。梅田達也さん(以下、同) 保護猫カフェや譲渡会で里親希望の方と話すなかで、「シャーシャー猫が心を開いてくれる瞬間がうれしい」とか「同じ空間でスヤスヤ安心して眠っている姿を見られるだけで満足」という言葉を聞くことがあり、シャーシャー猫でも家族に迎えたいという方が少なからずいると感じたんです。――宣伝ポストが大変な評判となりました。とは言っても、シャーシャー猫は譲渡会ではなかなかお迎えが見つからないのが現状です。だから開き直って「人に慣れてなくて警戒心が強い性格」を前面に押し出してみたらこんなに話題となってしまい……(苦笑)。SNSウケを狙ったわけではなかったので驚いてます。
島忠ホーム所沢店協力のもと開催された「ねこかつ」の譲渡会
――SNSでは「行ってみたい」という声も多く寄せられました。保護猫団体としてはうれしいかぎりですが、シャーシャー猫は人間に虐待された過去があったり、さまざまなトラウマを抱えている子もいて、簡単には懐かない。だから「猫がかわいければそれでいい」「そばにいてくれるだけでいい」という寛大な心を持った里親さんに恵まれるのが一番ですね。
――近年、保護猫という存在が世間一般に知られるようになり、環境省自然環境局によると、猫の殺処分数は2013年の9万9671件から2022年は9472件と大幅に減っています。我々のような保護猫団体の活動や、「猫をモノのように扱うのはいけないよね」という世論に変わってきたこともあって、10年前と比べると猫の殺処分数も10分の1以下まで減ってきました。しかし、データ上では減ったように見えますが、身寄りのない猫はまだたくさんいます。今は保健所がよほどのことがないかぎり猫を引き取らなくなりましたし、保健所から「この子をお願いできませんか?」と連絡がくることもあって、我々の団体に年間400~500匹ほど届きます。――そのうち里親さんが決まる猫もいるかと思いますが、現在、「ねこかつ」さんでは何匹くらい預かっているのでしょうか?保健所で殺処分される直前の子や、ひとり暮らしの飼い主さんが施設に入って身寄りがなくなった子を引き取ったり、保護猫カフェやシェルター、「預かりさん」という一般家庭を含めて200~250匹の猫が暮らしています。
保護猫だった三毛猫(撮影/集英社オンライン)
――すごい数ですね……。そうですね……。活動資金は保護猫カフェの収益や譲渡金などでまかなっていますが、今もシェルター等はキャパシティの限界がずっと続いていて、なかなか厳しい現状です。――毎週末、譲渡会を開いていても、現状は変わらない?人慣れしている子たちを集めた譲渡会でも、すべての里親さんが決まるわけではありません。1日で2、3匹の里親さんが決まれば御の字です。ましてやシャーシャー猫ともなると引き取り手を見つけるのがかなり難しく、ずっとここのカフェで暮らしている子も少なくありません。――そのなかでの今回の譲渡会。うまくいくといいですね。成功しても、シャーシャー猫が譲渡会で主流になることはないでしょう。それでも、今回の譲渡会で1匹でも多くの猫が優しい里親さんに出会えるのなら、やる意味はあると思っています。今後も定期的にシャーシャー猫だけの譲渡会を開いていけたらという気持ちです。※「我こそは猫好き上級者!」「人間に媚びない性格がたまらない!」――そんな“強者”の方の参加を期待!取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする