「ゴミ屋敷同然でネズミの糞だらけ」「室内には母の骨壺が放置…」ネグレクト母が借り続けていたアパートのヤバすぎる惨状とネコの行方の謎〈浅草・4歳児毒殺で夫婦逮捕〉

東京・浅草のホテル経営者夫妻が昨年3月に当時4歳の次女を毒殺したとされる事件で、警視庁が殺人容疑で逮捕した妻の細谷志保容疑者(37)が約10年前に母親とともに北海道から上京、千葉県内のアパートに母娘で住み始めていたことがわかった。母親は乳がんを患い数年前に死亡したが、志保容疑者はその後も部屋を解約せず、結婚した細谷健一容疑者(43)が子どもを連れて度々訪れ、昨年9月には警視庁が家宅捜索も行なったという。
アパートの大家の親族が、引っ越してきた当初の母娘についてこう振り返った。「10年くらい前のことだったと記憶しています。北海道から2人で出てきたとのことで、当時はお母さんも志保さんも介護職の夜勤をしていると聞いていました。実際に2人とも夜は家にいないようでした。2人が住み始めた直後から夜中にネコの鳴き声がひどくなったので様子を見に行くと、お風呂場の格子のついた窓から外を覗くようにしながら1匹のネコが鳴いていました。住宅街だし、ご近所迷惑だろうと思い、後日注意しに行きました。母親が『ペット可と聞いています』と言うので『飼うのは構いませんが、周りの方にも配慮して飼ってください』と伝えると、その後はネコの鳴き声はピタっとやみました。お母さんは普通の方という印象ですが、志保さんは見た目こそ、ごく普通のお嬢さんという感じでしたが、挨拶もしないし、あまり人と関わりたくないタイプの方に見えました」
逮捕された志保容疑者(撮影/集英社オンライン)
入居して数ヵ月経つころには、アパートで志保容疑者の姿は一切見かけなくなり、母親だけが住んでいたようだ。大家の親族が続ける。「住み始めてから約1年が経ったころにお母さんがウチを訪ねてきました。『乳ガンになってしまい仕事もできなくなるので、家賃の支払いが滞ってしまうかもしれません』と家賃の譲歩を求める相談でした。家賃は4万5000円ほどで、無理せず治療に専念してほしいと伝えましたが、実際にはその後も滞ることなく家賃は支払われていました。ちょうどその頃、志保さんの姿をまた見かけるようになりました」志保容疑者は当時、体を密着させる“夜の接客業”をしていたと思われる。店で“太客”だった健一容疑者と結婚、その後は健一容疑者を伴ってアパートを頻繁に訪れるようになった。
志保容疑者と母親が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)
「お母さんの様子が心配だったんだと思います。その頃、お母さんは介護職を辞め、道路で交通整理をする警備員の仕事をしていました。市内で何度かお仕事をしてるのを見かけましたから」(大家の親族)
それから3年ほどして、この親族は知人の民生委員から志保容疑者の母親の死を知らされたという。「民生委員の話ですと最後は働けなくなって生活保護を受けていたそうです。このころも志保さん夫妻は子どもを連れてアパートにちょくちょく来ていたので、『お母さんが亡くなったのならアパート解約のお手伝いをしましょうか』と伝えに行きました。玄関口に出てきたのは健一さんで、『ちょっと待ってください』と奥の和室で志保さんと話し込んでから戻ってきました。健一さんは『妻がお母さんは入院して2、3日で亡くなってしまったので、心の整理がついてないと言っています。だから、まだ貸しといてください』と言ってきました。その様子からも志保さんは人と関わりたくないんだろうなと思っていました」
逮捕された健一容疑者(撮影/集英社オンライン)
この大家の親族には、健一容疑者は子供好きの優しい父親に映っていたという。「アパートに遊びに来ているタイミングで町内会費などをもらいにいったりすると対応するのはいつも健一さんで、志保さんは決まって奥の和室から出てきません。健一さんが玄関口に出てくると子供たちもワーッとドタバタついてきました。2~3歳の子もいたので、昨年に亡くなった子だと思います。腰も低くて敬語も使えるし、子供好きの優しい父親に見えましたね。むしろ子供を遊ばせたり、面倒を見てるのは健一さんだけだったんじゃないですかね。あるときはベランダで大きなプラスチックのプールのような物に砂を入れて子供たちを遊ばせていました」
“ゴミ屋敷”のようにモノで溢れた自宅マンションの部屋の前(撮影/集英社オンライン)
健一容疑者はこのアパートでも家事一切を担当していたようだった。「朝に部屋を訪ねたときには健一さんが台所に立って料理をしていて、その横で子供たちが立ち食いしているなんてこともありました。1人で面倒を見ていて大変だろうなと思いました。3年前の大晦日には、夜11時ごろ健一さんがウチを訪ねてきたこともありました。抱っこ紐で子供を抱えて、他に2人の子供を連れて『細谷ですが鍵が見当たらなくて。鍵があったら貸してほしいのですが』とのことでした。ちょうど隣室が空き部屋だったので、そこで待っていてもらったんですよ」このときも志保容疑者は黒いフィルムを窓に貼った車の中から出てこようとしなかったという。「子供もみんなとても可愛い子たちでした。お菓子をあげると一番上の男の子が『ちょっと待ってて』と部屋から綺麗な石を持ってきて『あげる』と私の手のひらに乗せてくれたんです。それを見ていた妹も雑草の中に咲いていた花を一輪抜いて『あげる』って。一番下の女の子はまだ小さくて。でも、その子だと思うけど、夜にギャーっと泣き叫ぶ声が1時間くらい続いたことはありました」
3年前の大晦日を境に「細谷一家」がアパートに来る頻度が減ったこともあり、この大家の親族は再び解約を持ちかけたという。「部屋を放置されたままにされるのも困ると思い、『使わないなら解約したほうがいいのでは?』と健一さんにメールしたところ、『今月中には必ず行きます』とすぐに返事がきたのですが、部屋には来ていませんでした。そうこうしているうちに去年の9月に警察の方が『契約書が見たい』と訪ねてきて、その数日後には、部屋の中を見たいから立ち会って欲しいと依頼されました」
9月におこなわれたアパートの家宅捜査
その際に警官に、気になることを聞かれたという。「刑事さんに『この辺でネコなどの死骸が見つかるというようなことはありませんでしたか?』と聞かれたんです。そういえば引っ越してきた当時に飼っていたネコをパッタリ見かけなくなりましたが、まさかですよね……。それで私も、『立会人』という腕章をつけて捜査に立ち会うことになりました。その際に見せられた書面に『4歳』とか『殺害』という文字が見えたので、『あの一番下の子が亡くなったのか……』とショックを受けました」部屋は食べ物の残骸やおもちゃなどで散らかり、ゴミ屋敷同然だった。最後に細谷一家を見かけてから、ほぼ2年が経過していた。「鍵を開けて中に入った刑事さんが『うわっ、ネズミの糞がすげえな』と漏らして、実際にネズミが一匹、部屋から出てきました。2つの冷蔵庫の中も爆発したかのように食べ物が飛び散ってこびりついていました。そして、志保さんの母親の骨壷だと思いますが、タンスの上に無造作に置かれていました。供養されているとは思えない惨状でしたね。事件になるのなら今後、部屋をどうするのか健一さんに問い合わせたかったんですが、警察に『連絡はしないでほしい』と釘を刺されました。家賃は払われているんで部屋も今はそのままですね」千葉のアパートには母親の、浅草のマンションには娘の骨壷を平然と放置し、ゴミ屋敷同然に放置しながら、着飾って外食などを楽しんでいたボンボンの父親とネグレクトの母親。7つの大罪すべてを抱えたような夫婦の行き着く先は、いったいどこなのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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