コロナ第10波で入院患者が急増 40~50代が肺炎に至るケースも増加中

「現在、主流のオミクロンJN.1株は、発熱や喉の痛み、咳などの症状が中心で、基本的にこれまでの株と大きく症状は変わりません。ただ、第9波に比べて第10波は、比較的若い40~50代でも肺炎になる方が増えている印象です。3~4日経っても熱が下がらないとか、だるさが続くという場合は、医療機関の受診をお勧めします」
そう話すのは、公平病院(埼玉県・戸田市)の院長、公平誠さん。
現在、猛威を振るっている新型コロナ第10波。1医療機関あたりの平均患者数は、1月に入って急増し、1月最終週で平均14.93人に。第9波のピーク時(21人)に迫る状態になっている。
気がかりなのは、罹患者の増加に伴いコロナの入院患者も増加していることだ。東京都は1月下旬、コロナ患者が1,500人を超えたことを受け、酸素投与が必要な中等症患者の病床確保を都内の医療機関に求めている。
「当院も10床から22床に増やす準備をしています。現在、入院中のコロナ入院患者は9割が後期高齢者ですが、10波になってからは20代の方含め、40~50代の比較的若い方も1割程度はいます。デルタ株のときのような厳しい肺炎ではないですが、4~5日しても症状がよくならないので来院され、CTを撮ると肺炎になっているという感じです」(公平さん)
さらに厄介なのは、新型コロナのみならず、インフルエンザも猛威を振るっていることだ。1月最終週の定点あたりの患者数は平均19.20人で、昨年同時期の約倍になっているのだ。(厚労省発表)
「当院にも、新型コロナとインフルエンザの両方に同時罹患して入院されている患者さんがいます。熱がなかなか下がらない、血中酸素濃度が低くて息があがっている等の状態があり、調べてみたら両方に罹患されていました」
現在、新型コロナの抗ウイルス薬に加え、季節性インフルエンザ薬も投与して治療にあたっているという。
「両方罹患される方が増えると、他のコロナ患者とも隔離しなければならないので、その分、入院できる患者数が減ってしまいます」(公平さん)
大阪府でも、新型コロナ入院患者が1月最終週で1,609人と増加中だ。
在阪で在宅医療を担う水野クリニック(大阪府・河内長野市)の院長・水野宅郎さんも、「第10波に入って介護施設での新型コロナのクラスターは増えている」としたうえで、こう問題点を指摘する。
「5類移行後は介護施設によって対応が大きく異なっていて、『ただの風邪』として、診察や処方もしないところも少なくありません。ですから正確な罹患者数の把握できない状況になっています」(水野さん)
水野院長は5類移行前、“クラスター対応班”として、大阪府内の介護施設に出向き、診察や抗ウイルス薬の投与などを行ってきた。しかし現在は、診療依頼を受ける介護施設は一部に限られているという。
「多くの方は軽症ですみますが、20人罹患したら1人は入院治療が必要になる。その後、食事を摂れなくなって亡くなる方も少なくありません。
インフルエンザでも同様のリスクはありますが、こちらは抗ウイルス薬を処方されるので、その分、回復は早いと思います」(水野さん)
前出の公平さんも、第10波でコロナ肺炎の入院患者が増加傾向であることの要因を、こう分析する。
「当院に搬送される高齢者の多くは、感染初期に抗ウイルス薬を服用していなかった方が多いようです。5類移行になってから、3割負担で約9,000円、2割負担でも6,000円かりますから、躊躇されているではないでしょうか。
ただ、基礎疾患があったり、高齢の方に関しては、できるだけ抗ウイルス薬を服用されることをおすすめします。また、オミクロン対応型のワクチン接種を受けている方の方が軽症ですんでいますので、〈まだ受けていない〉という方はご検討ください」
人口動態調査から見る新型コロナ感染による死者数は、昨年1月~9月段階で32,022人。感染者数の母数が増えれば、それだけ重症者や死者数も増えるうえ、脳梗塞やがんなど、重篤な患者の入院にも影響が及ぶ。できる限りの感染対策をして冬を乗り切ろう!

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