65年分の廃棄物をどう処理すれば… 仮置き場はできたもののボランティアも遅れ 手が付けられない高齢者も 能登半島地震 石川県珠洲市の現実

能登半島地震の被災地の今を伝えるCBC記者の取材報告です。今回、家屋の倒壊などによって発生した災害廃棄物は、石川県内で80万トンを超えるという推計があります。中でも困難な状況にある石川県珠洲市についてお伝えします。
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(脇田亜彩香記者 2月1日)「珠洲市内を歩くと、いたるところに倒壊した家屋のがれきがあって、道路に広がって散乱している状態です」暮らしていた住宅、使い慣れた家具が一瞬にして災害廃棄物に…。
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(住民)「この広間でお祭りで飲んだり食べたり騒いでいたんですけれど、(ふすまや壁などが壊れて)これじゃあもう全然…」(住民)「テレビもつかない状態ですし、壊れてしまって。地震があったときに止まった時計です」あの日から時が止まったようです。珠洲市の被害は甚大で、死者は101人(5日現在)。また、全壊した家屋は市内にある木造家屋のおよそ37パーセントにあたる、2000棟あまりと推計されています。
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災害廃棄物は産業廃棄物ではなく、一般廃棄物として市町村が処理することになります。珠洲市は今回の地震で、28万トン余りを処理する必要があると推計され、これは市が1年間に処理するおよそ65年分に上ります。
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珠洲市の泉谷満寿裕市長は、倒壊家屋の解体撤去を全て終えるのに、12年ほどはかかるとし、窮状を訴えました。(珠洲市 泉谷満寿裕市長)Q珠洲市だけで処理対応できる?「当然できない。早くに石川県に相談して東京の企業であったり、全国規模でご協力いただけると思う」
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今回の災害廃棄物に関するデータを推計したのは、現地調査に入った名古屋大学減災連携研究センターの平山修久准教授です。(名古屋大学減災連携研究センター平山修久准教授)「そもそもの職員数も含めて、現地でのリソースが非常に厳しい。災害廃棄物の処理をする土地の確保を十分にできるのか、調整をしっかりしなくてはいけない。中部地方で考えると、愛知・岐阜・三重・静岡の支援が重要になってくる」
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珠洲市は2月1日になってようやく仮置き場を設置できました。しかし、初日に災害廃棄物を持ち込んだ車両は90台。この台数は去年5月に珠洲市で震度6強の揺れを観測した地震の際の2割ほどだということです。(廃棄物を持ちこんだ住民)「きょうはとりあえず木材。ベッドとか棚とかつぶれてしまったので。去年5月のとき、めちゃくちゃ(持ち込みの車両が)並んでいたので、早めに来ようかなと思って…」
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運ぶための車が地震で壊れたり、避難所から自宅になかなか戻れず片付けが進まないなど、珠洲市民は次の一歩が容易には踏み出せない状況です。(室内を片付ける住民)「ボランティアでも来てくれればいいけれど、珠洲はまだでしょ。2人じゃ何もできない。上から下まで降ろさないといけないし」。
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街の再建はいつになるのか。平山准教授の推計では、石川県全体で古い木造家屋を中心に5000棟あまりが全壊。災害廃棄物は80万6000トンに上るということです。しかし、津波被害と液状化による被害は考慮していないため、実際の災害廃棄物の発生量は、この推計をさらに上回る可能性があると話しています。
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