アメリカで、動物保護施設の前に子犬が放置される出来事がありました。
ところが、施設のスタッフは子犬たちを置いていった人物を非難するどころか、『名もなきヒーロー』と呼んだのです。
2024年1月、ノースカロライナ州にある『ファイエットビル・アニマル・プロテクション・ソサエティ』の玄関先に、ペットのキャリーケースのようなものが置かれていました。
中に入っていたのは…5匹の子犬。そばには手紙が添えられていたといいます。
動物保護施設の前とはいえ、適切な手続きをせずにペットを置いていくのは無責任といえるでしょう。
しかし、手紙を読んだスタッフは感動。SNSで内容を紹介しました。
助けてください!悲しいことに、私がよくエサをあげていた野良犬が道路脇で死んでいるのに気付いた後、この子犬たちを見つけました。その犬は車にはねられたのです。
エサをあげていた時から、どこかに子犬がいることを知っていたので、いつもその犬を見かける場所を探したところ、子犬たちを見つけました。
こんなふうに放置してしまって申し訳ないのですが、私はホームレスで子犬の世話をする余裕がありません。
この子たちと母親を思うと、胸が張り裂けそうです。
私はただ、私と同じような母親には与えられなかったチャンスを、子犬たちに与えてほしいだけなのです。
どうか私のことを悪く思わないでほしいのですが、寒空の下、帰って来ない母親を待つ子犬たちを放っておくのは間違いだと思いました。
敬具 名無しの男より
この手紙を書いた男性はホームレスで、自身の生活が困難な状況にもかかわらず、その母犬に食べ物をあげていたそう。
しかし、母犬が車にはねられて命を落としてしまったため、残された子犬たちを探し出して、正しくないと分かっていながら施設の前に置いて行ったのです。
男性は、野良犬だった母犬が得られなかった、安心して暮らせる家や十分な食事、家族からの愛情を、せめて子犬たちには与えてあげたかったのでしょう。
そんな男性の事情と優しさが伝わる手紙は、スタッフたちの「心の琴線に触れた」のだとか。
投稿ではその男性に向けて、子犬たちを愛情をもって世話をすることを約束し、「もしあなたがその気になったら、ぜひシェルターに子犬たちに会いに来てください!」と呼びかけています。
そしてこの投稿の約10日後、5匹の里親募集を始めることが発表されました!
同年1月26日現在、子犬たちを置いていった男性は現れていないといいます。
ただこれらの投稿には、心優しい男性のことを気遣うほか、「彼を助けたい」というコメントも多く寄せられていました。
男性がどこかでこれらの投稿を目にして、子犬たちが安全であることと、自らに寄せられた人々からの温かい声に気付いてくれるといいですね。
そして、子犬たちの母犬もきっと、この男性に感謝していることでしょう。
[文・構成/grape編集部]