自民党執行部が、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、立件対象とならなかった安倍派幹部について、自発的な離党や議員辞職を求めたことが1月25日に明らかになった。自民党内からは派閥の政治資金事件を受けて”離党”を求める声が上がっていて、自ら判断しない場合、党として厳重な処分を科すことを検討しているという。
安倍派幹部とは、同派座長の塩谷立元文部科学相や、事務総長の高木毅前国対委員長、松野博一前官房長官、下村博文元文科相など同派中枢の“5人衆”らが念頭にあるとみられている。
「茂木敏充幹事長は、安倍派幹部に対して“自発的”に政治責任をとるよう伝えているそうです。
ただ、安倍派の幹部はすでに処分は受けているとして反発を強めている上に、党による処分の場合、どこまでが処分の対象となるかの“線引き”で反発される可能性も高い。もし離党となれば、安倍派から岸田派や二階派の幹部にも同じ対応を求める声が上がるかもしれません」(全国紙政治部記者)
東京地検特捜部は政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で、安倍派と二階派の会計責任者を在宅起訴、岸田派の元会計責任者を略式起訴している。3派閥による収入の虚偽記入は2018~22年に安倍派が約6億7000万円、二階派が約2億6000万円。岸田派は18~20年に約3000万円とされる。
「関係者が立件された二階派や岸田派などにも“飛び火”する可能性もある上に、自民党内でもかなりの人数からの反発が予想されるため、“安倍派の切り捨て”に岸田首相は慎重にならざるを得ません。
また、裏金問題は安倍派に限らず自民党全体の問題にもかかわらず、安倍派幹部にだけ責任を取らせようという茂木氏の動きは、次の総裁選を狙う茂木氏による“邪魔者の排除”との味方も強く、自民党内の政治闘争は泥沼化するかもしれません」(前出の記者)
これには立憲民主党の小沢一郎氏もXで《非常にわかりやすい。これで邪魔者を完全に消せると。もはや自民党は国民など見ておらず誰もが敵をいかに潰して生き残るかということしか頭にない》と痛烈に批判。元財務官僚で経済評論家の高橋洋一氏も《いくら人事が好きでも、この権力闘争はやりすぎ》と批判した。
Xでは「安倍派幹部」が一時政治のトレンド入り。ネット上では自民党が筋の通らない“粛清”を計画していることに呆れる声が多く上がった。
《会計責任者が立件されたという意味では岸田派と二階派も同罪。派閥のトップである岸田文雄と二階俊博にも、安倍派幹部と同様に離党か議員辞職を求めるべき》《ようするに猿山の権力闘争なんですね。情けない》《派閥を無くすとかいいつつ結局やってる事は派閥間闘争っていうどうしようもない状態》《収入を無かったことにして裏金化していたことが問題なのに、この大問題を解決する気はなく、派閥問題にすり替えて、最終的に権力闘争しているだけ。全く意味なし!》