令和に黒船襲来!? マットブラックの「ランクル70」を発見!

トヨタ自動車の「ランドクルーザー70」といえば、過酷な環境での使用を想定した本格SUVの代名詞だ。今年で40周年を迎えるロングセラーモデルで、2023年には日本での再々販売が決定してファンを沸かせた。そんなランクル70を真っ黒に塗装したカスタムカーを「東京オートサロン2024」で発見した。

ランクル専門店ならではのカスタムを実施

ランクルの歴史は1951年の「TOYOTA JEEP BJシリーズ」から始まる。1984年には「70」を車名に冠した「ランクル70シリーズ バン」が登場。その翌年には「ランクル70シリーズ ワゴン」がデビューした。

「ワゴン」は後に「ランドクルーザー プラド」となり、快適性も兼ね備えたライトユースモデルへと進化していった。一方の「バン」は2004年に生産を終了となり、2014年には期間限定で復活を果たしたが、しばらくは日本市場から姿を消していた。

そんなランクル70が日本市場に帰ってきた。しかも、期間限定ではないというからファンが喜んだのももっともな話だ。無骨なボディに丸目のヘッドライトを採用し、愛らしくもなつかしいランクル70の姿に筆者も興奮した。

東京オートサロン2024のトヨタ車体ブースには、マットブラックで全身を塗装した真っ黒なランクル70が登場。その名も「ランドクルーザー70 ブラッククルーザー」だ。一体どんな経緯で開発したのか担当者に話を聞いてみた。

「ランクル70に楽しみながら乗っていただきたいという思いでブラッククルーザーを開発しました。当社が展開する『ランクルBASE』は、車体設計から生産までを手掛けるトヨタ車体だからこそできる、ランクルのカスタムカーを取り扱う専門店です。ブラッククルーザーはランクルBASEならではのカスタムカーだといえます」

ボディカラーもそうだが、各種パーツも珍しい。どんなアイテムを選んだのか。

「そもそもランクル70には、日本では取り扱っていない、海外仕様の純正部品がたくさんあります。ブラッククルーザーには海外純正部品を厳選して取り付けました。国内はもちろん、海外でもめったに見ることがないレア感を演出するため、海外仕様の純正部品の選定にはこだわりました」

ブラッククルーザー(黒船)の由来は?

ブラッククルーザーといえば「黒船」だ。海外純正部品を日本国内に持ち込む1台であることから黒船と名付けたという。

ほんの一例だが、例えば右サイドAピラーに取り付けた「シュノーケル」やメッキ仕様の「サイドミラー」、フロントバンパーにある「ウインチ」などは海外純正部品であるとのこと。この3点だけでもランクル70に迫力とインパクトが加わり、存在感が増している。まさに、海外の部品を満載したランクル70=黒船の襲来だ。

そのほか、天井部分のルーフラックやフロントのラジエーターグリル、ドア下部のサイドステップ、タイヤ上部を覆うオーバーフェンダー、リアのタイヤカバーなど、あらゆるパーツがブラックで統一されており、デザインとしてうまくまとめられている。
なぜ海外純正部品にこだわった?

海外純正部品にこだわった理由を担当者は次のように語る。

「ランクル70は中東地域や欧州、オーストラリアなど、海外での販売が非常に好調なモデルです。そのため、海外に目をやると、純正パーツだけでなく、社外製のパーツを取り付けたランクル70を非常に多く見かけます。ただ、社外品は安全性や信頼性という面で、純正パーツに劣る部分があります。だから今回は、ランクルの車体設計から生産までを手掛けるトヨタ車体、ランクルBASEだからこそできる、海外純正部品を使ったカスタムを行いました。国内の純正パーツでは実現できない迫力や見た目のインパクトが、海外純正部品にはあると思います」

展示車両のブラッククルーザーは、このままでは公道走行ができない状態だそうだが、海外純正部品を含むパーツを日本国内で販売する可能性はあるのだろうか。

「現時点ではまだなんともいえませんが、これほどまでにランクル70にマッチしたパーツはなかなかないと自負しています。お客様の反応などをみて、いずれそう遠くない将来、日本国内でも海外純正部品を販売できればとも考えています」というのが担当者の見解だ。一部の海外純正部品については国内販売がすでに決まっているそうだ。

マットブラックのボディとツヤのあるブラックのパーツはコントラストが抜群。黒一色でありながら表情があり、とてもファッショナブルな仕上がりだ。

室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら

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