見た目は車両、でも「交番」。そうした「移動交番」の導入が増えています。車両を使った交番にはどのような利点があるのでしょうか。
高知県警が2023年12月26日、「移動交番車」を初納入しました。最初の1台は2024年1月30日に安田町で初開設される予定です。
「あ、パトカーだ! いや“交番”だ!」それも目的!? 移動交…の画像はこちら >>千葉県警が所有する移動交番(画像:千葉県警)。
ここ数年、移動交番を採用する警察が増えています。2019年10月には石川県警がバン型の移動交番車の運用を開始したほか、香川県警でも2020年9月から運用を開始、2023年7月に愛媛県警が、2023年10月にも岐阜県警が導入しています。こうした車両化した交番にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
実は移動交番の歴史は意外と古いです。移動交番車を60台以上と全国でも最大規模で保有している千葉県警によると、千葉県では戦後すぐから1980年代まで、団地開設などで人口が急増した地域の交番設置要望に応える目的で運用されていたそうです。
それから長らく目立った動きがなかったなか、千葉県では2009年に就任した森田健作前知事が政策の一環として、移動交番を復活させ、2010年から体制を整えたことで、運用基準が拡がりました。
移動交番の主な目的は、設置要請がある地域やショッピングセンター、あるいは犯罪の危険性の高い地域などで警戒を強化する目的があります。また、愛媛県警では離島、岐阜県警では、交番や駐在所の統廃合などによる、住民の不安を軽減するといった狙いがあるようです。
なお、運用中の移動交番では、固定式の交番のように各種書類の届け出が可能なほか、住民の相談にも応じてくれます。そして、移動交番で一番の狙いとなるのが、「見せる警戒」です。繁華街や住宅街、イベント会場などで、あえて目立つことで、防犯効果を高めています。
千葉県警では、移動交番を利用し、高齢者に対する振り込め詐欺被害防止と交通事故防止などの防犯講話などにも力を入れているといいます。
なお、熊本県警ではキャンピングカー型の移動交番車を所有しているほか、警視庁でもトレーラーハウス型の移動交番車があります。