山手線ロレックス強盗は「即興型共犯」だった…アイコンタクトから“あうんの呼吸”でタッグ

犯行時間わずか3秒という電光石火の早業だった。
JR山手線の電車内で酒に酔って寝ていた男性から、高級腕時計「ロレックス」を盗んだとして、警視庁は18日までに東京都中野区の無職、樋口遼哉(25)と、愛知県一宮市の職業不詳、小島一輝(36)の両容疑者を窃盗容疑で逮捕した。
2人は2023年6月14日午前0時20分ごろ、新橋-浜松町間を走行中の山手線内で、帰宅中の男性(38)が左手首に着けていたロレックス(約100万円相当)を盗んだ疑いがある。
小島容疑者が見張り役として車内で目を光らせ、実行役の樋口容疑者が男性を介抱するふりをして横に座り、男性の腕から3秒間で時計を外し、2人は浜松町駅で下車したという。男性は4駅先の終点の大崎駅で時計がなくなっていることに気づき、被害届を提出。盗まれたロレックスは小島容疑者によって売却されていたという。車内の防犯カメラの映像から、2人の関与が浮上。調べに対し、2人とも「話したくありません」と黙秘している。
「2人は乗車した駅も時間帯もバラバラで、面識もなかった。お互い『一人親方』で、車内をウロつきながら獲物を物色していた。相手を認識した時点で同じ目的だと分かったようで、あうんの呼吸で酔客に狙いを定め、タッグを組んだ。よっぽど手慣れていなければ3秒で時計を外すのは困難だが、樋口容疑者はこれまで同様の手口で犯行を重ね、3回逮捕されている。その日も別の20代の男と共謀して、他の駅で盗みをはたらいていた」(捜査事情通)
事前に打ち合わせをせず、現場で居合わせた者同士が協力して犯行に及ぶことを「即興型共犯事件」という。スリや痴漢でも、初対面の仲間同士がその場で協力し合うケースが見受けられる。
コロナ禍が一服し、外出や飲酒の機会が増えた23年、都内では寝ている乗客などからバッグや財布を盗む「仮睡者狙い」が前年比1.3倍の1284件発生。そのうち半数以上の662件が電車内の被害で、山手線内に限ると321件あった。
いつどこで誰に狙われているか分からない。

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