「想定外の液状化」1m飛び出たマンホール 新耐震基準を満たしていたのに被害受けた建物も 能登半島地震を専門家が分析

能登半島地震で、最大震度6強の揺れが観測された石川県輪島市。被害の特徴のひとつが建物の倒壊です。甚大な被害が出た輪島市を、建築設計や防災工学が専門の名古屋工業大学・北川啓介教授と歩きました。
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(名古屋工業大学・北川啓介教授)「2階部分が落ちてきてしまっていて、1階の耐震の要素が少なかった典型。建物が倒壊して前(の道)に出てしまうと、避難する時間もかかる。車が出られない。木造でもいわゆる“旧耐震”と言われる、昔の耐震基準でこういうことが起きてしまう。耐震補強はもっと積極的に取り入れた方が、街の安全性や街の風紀にもつながってくる」
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現在の耐震基準では「震度6強から7程度の地震で倒壊しない」レベルが求められているのに対し、1981年5月31日までの「旧耐震基準」では「震度5強程度の地震で倒壊しない」とされていました。
今回の能登半島地震での住宅被害の全容はまだわかっていませんが、2016年の熊本地震では「旧耐震基準」でつくられた木造の建物は、倒壊などの大きな被害に至った割合が大きかったことが分かっています。
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また、輪島では商店街ならではの事情も。(名工大・北川教授)「1階部分の開口部が広い建物が多い。客に入ってもらったり、商品を見せたりするため。そうすると入り口側の耐震壁が少ないので、揺れた時に1階部分がぐらぐらとなり、上のものがどんと落ちてきてしまう」
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ただ、新しい耐震基準を満たしていたのに被害を受けた建物もあります。その要因には、能登地方でここ数年地震が頻発していたことがあると見られています。建物にダメージが蓄積されていた可能性が考えられるのです。(名工大・北川教授)「建物は全部が接合された状態で設計されているが、最初の地震で一部が破損しただけでもだいぶ変わる。今自宅に戻っている世帯もあるが、ちょっとでも心配だったら、また余震がきて倒壊することもあるので、とにかくあまり無理せず避難所など違う場所に住まいを構える方がいい」
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さらに、建物倒壊の大きな要因となったのが。(名工大・北川教授)「マンホールが1mほど上がっている。本当に典型的な液状化の現象」液状化とは、地震による揺れで地中の水分が浮かび上がり、地盤が液体状に柔らかくなる現象です。川の近くや埋め立て地などで起こりやすくなります。
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輪島市内では、7階建ての鉄筋のビルが横倒しになりました。北川教授は、倒れた原因は液状化による影響が大きいと見ています。(名工大・北川教授)「地盤を見ても、歩道のところが上がっている。建物がそのまま倒れるというのが液状化のひとつの現象で、建物自体が損傷する前に倒れ始めて、それで全体が崩壊し始める。この建物は本当にしっかりしている。(柱の)太さもしっかりしているし、ただ地盤がこれだけ液状化するのは想定外だったと思う」
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北川教授は「街づくりを含めた防災の視点」が今後も重要だと指摘します。(名工大・北川教授)「建物が密集していた所は地震で全体的に道路の方まで(倒壊した家屋が)出てきてしまって、街の危険性が増してしまった。建物ひとつ作るのは、建物ひとつだけの話ではなくて街全体のこと。日本は地震大国でもあるので、耐震技術は世界でもトップレベル。それがしっかり施されている技術を適用していくことが大事」
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