〈メン地下事務所社長ら逮捕〉チェキ会で横行する過激サービス「女性ファンの胸を触るなんて序の口」“色恋営業”で貢がせる非道な手口も「“ご褒美”のために高校中退して風俗へ落ちる子もいる」

警視庁少年育成課は1月16日、新宿区の芸能事務所「NAプロモーション」社長・栗田竜之介容疑者(32)、同社最高顧問の畑中卓也容疑者(42)を東京都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。栗田容疑者らは去年1月、同社に所属していた20代のメンズ地下アイドル(メン地下)の男性と共謀し、写真撮影会に訪れた当時17歳のファンの女子高生の胸を触ったり、体の上に覆いかぶさるなどの卑猥な言動をした疑いがある。
逮捕された栗田・畑中両容疑者が幹部をつとめる「NAプロモーション」は、おもにメンズアイドルグループの育成・運営をしている芸能事務所。社会部記者はこう語る。「過去にも同社所属の男性アイドルが、ファンの下着の中に手を入れたことを被害女性がSNSで発信したりと、悪い噂は絶えなかった。近年ではホストと同様、メン地下に貢ぐために立ちんぼ(路上売春)をする女性があとを絶たず、警視庁も警戒を強めていた。今回、アイドル本人じゃなく幹部を逮捕したのも、組織を抜本的に摘発しようという意思の表れだろう」
社長と最高顧問が逮捕された「NAプロモーション」の事務所ビル(撮影/集英社オンライン)
警視庁少年育成課によると、同社のメンズ地下アイドルグループは、1000円を支払えば1分間、推しのアイドルと写真を撮影しながら会話できる「写真撮影会」(チェキ会)やライブ代などで、月に1億円以上を売り上げていたという。しかし、業界からの評判はよくなかった。都内でアイドルグループを運営する30代の男性は、同グループの印象についてこう語る。「以前から『NAプロモーション』のアイドルライブでは、卑猥な行為が行われていると業界内で有名でした。過激なものだと、ファンの女性の胸の谷間に手を入れたりもしていたみたいです。なかには、ファンとSNSでつながって『色恋営業』をしかけるアイドルもいて、それを本気にしてしまう女子も多かった。一度のイベントに数万円も使ってループ(チェキを何度も撮る)する子もよく見ました」
過去に同グループのアイドルライブに通っていたという20代の女性も、「NAのライブは異様だった」と振り返る。「渋谷のハチ公前で『ドリンク代500円だけだから来て!』と誘われたので軽い気持ちで行ってみたら、イケメンが多くてハマってしまい……。でも、推し(のアイドル)と話すには1回1000円のチェキ券が必要で、それを何十枚も買わないと推しに認知すらされない。だからループする子もよく見かけたし、なかには制服姿でライブに来て、スクールバッグから50万円の札束を出している子もいました。撮影会ではそういった子の胸を触ったり、キスするほど顔を近づけてチェキを撮っているアイドルもいたので、『このグループやばくない?』と思って、通うのをやめました」
逮捕された栗田容疑者(事務所SNSより)
だが、中学1年生のころからメン地下のライブに通っているというガールズバー勤務の20代女性によると、「撮影会で女の子の体を触るのはなにも『NAプロモーション』に限った話ではない」という。「メン地下はホストと違って、同伴やアフターという文化がなく、ファンと会えるのはライブハウスのみ。LINE交換などファンとつながりを持つことは一切禁止されているので、女の子を沼らせようとチェキ会で好意を匂わせてくるメン地下は多いです。今回の事件では未成年の胸を触ったと報じられていますが、そんなのはまだ序の口。メン地下のチェキ会のなかにはいきなりギューッと抱きしめてきて、パンツの中に手を入れてくることも珍しくありません。耳元で『オレのも触って?』と股間を触らせられたこともありますし。このような撮影会をメン地下界隈では『前戯物販』と呼んでいます。友達はチェキ会の様子を初めて見たとき、『なにこれ、乱交パーティ?』とつぶやいていました」
グループの増加とともに競争が激化したメン地下界。他と差別化するために過激なチェキ会を開催し、ファンの恋愛感情を刺激しようというグループも少なくなかったとか。そして、こうしたチェキ会には、ファンを“沼らせる”以下のようなシステムも用意されていたという。「1枚のチェキ券につき、ポイカ(ポイントカード)に1個ずつスタンプが押されていき、その合計数に応じて推しから“ご褒美”がもらえるんです。たとえば50ポイントだと推しとツーショットの自撮り動画撮影、500ポイントなら1時間のデート、1000ポイントならリムジンデート、1500ポイントならディズニーデートなどなど。友達が300ポイント貯めてもらった推し直筆の手紙には、back numberの『君の恋人になったら』の歌詞が書いてあったそうです。ただ、このご褒美目当てに風俗落ちする子も少なくなくて、私の知り合いも18歳で高校を中退してピンサロで働き始めました」(前出、ガールズバー勤務の女性)
推しからのご褒美と必要ポイント一覧(撮影/集英社オンライン)
そう証言するこの女性もこれまでメン地下に500万円以上貢いできたという。なぜメン地下はそこまで女性を惹きつけるのか。「やっぱりメン地下特有の『素人感』ですかね。ホストはいくら枕(営業)してもらっても『どうせ他の子にもしてるだろうし、金づるとしか見られてない』という気持ちになってしまう。その点、メン地下はファンとつながることはルール違反だし、ホストと違って、プロ意識が低い人が多いので『マジで付き合えるかも』という期待が持てるんです。実際に私の周りでも推しとLINEを交換して連絡を取り合ってる子はいますし、未成年の子たちも年齢を偽ってつながろうとしてますね」(前同)
「スカウトを名乗る男性からTwitter(現X)に急にスカウトのラインがきて…。同じようなDMは他の(トー横)キッズにも届くみたいで、実際にメン地下になった子もいます」(トー横にいた17歳の少年)
ホストよりも手の届きそうな存在だけに、大いに危険をはらむメン地下カルチャー。栗田容疑者は「卑猥なことをやるよう指示したことはない」などと容疑を否認しているが、今後、未成年の被害者が増えるようなことがあれば、新たな社会問題として世間を騒がせることになるかもしれない。取材・文/集英社オンラインニュース班

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする