アサヒ飲料、2024年事業方針を発表 – 強炭酸サーバー「EXTRA BURST」4月にサービス開始

アサヒ飲料は1月16日に事業方針説明会を発表した。2024年は「三ツ矢」ブランド140周年、「ウィルキンソン」120周年と、同社の100年ブランドが周年を迎える年だ。「100年ブランドや高付加価値商品の強化と未来創造につながるCSVビジネスの構築」を2024年の事業方針に掲げるアサヒ飲料の取り組みをレポートする。

○「無糖」「炭酸」「健康」の領域に注力

説明会の冒頭では、アサヒ飲料 代表取締役社長 米女太一氏より昨年の総括と2024年の事業方針について発表が行われた。

2023年の清涼飲料市場は経済活動の回復や最盛期の好天の影響があったものの、原材料・エネルギー価格の高騰などの影響を受け、前年並みになったと見込まれている。アサヒ飲料は、「お客さまとの共感」をテーマに、3つの100年ブランド「カルピス」「三ツ矢」「ウィルキンソン」と、「無糖」「炭酸」「健康」の領域に注力し、2023年の販売数量は26,368万箱、昨年比102.2%と3年連続で前年を上回ることとなった。また緑茶の新ブランド「颯」、「守る働く乳酸菌」を機能性表示食品として発売するなど新たなチャレンジも行った。

2023年1月にはダイドードリンコ社との包括的業務提携を行いダイナミックベンディングネットワークを設立。直販事業の一体的運営、相互販売、一部缶コーヒーの製造受託を開始、環境領域では協業によるPETボトルの水平リサイクル率の向上と4つの領域で協業し、自動販売機ビジネスの明るい将来を共創した。サステナビリティの取り組みでは、関東、関西エリアを中心に「CO2を食べる自販機」を設置しCO2吸収量や吸収スピードの実証実験を開始、地方自治体とのボトルtoボトル協定締結の推進や、ラベルレス商品の販売も前年比122%・840万箱と売り上げを伸ばしている。

「2024年は、『100年ブランドや高付加価値商品の強化と未来創造につながるCSVビジネスの構築』を事業方針に掲げ、当社の事業を通じて、将来世代がワクワクするような社会をつくっていくことにチャレンジをしてまいります」と米女氏。また社会に対して提供する価値のあり方も、収益性と成長性に「ワクワク度」の要素を加える再定義を実施。生み出す価値を立体的に捉える事業や活動を行っていくという。
○周年を迎える炭酸カテゴリーをさらに強化

2024年のマーケティング戦略について、アサヒ飲料 取締役 兼 常務執行役員 マーケティング本部長 野村和彦氏より説明が行われた。2024年は「無糖茶」「乳性/ヘルスケア」「炭酸」を中心としたマーケティングに注力する。

「無糖茶」の領域では、「十六茶」「和紅茶」そして2023年に発売した緑茶ブランド「颯」をリニューアル。ユーザーの情緒価値に寄り添う商品を展開し、オンリーワンブランドを目指していく。また「華やかで爽やかな香り」という独自価値を提供する「颯」は、発売初年度で約560万箱を販売(2023年4~12月)、停滞傾向にあった緑茶市場の活性化に寄与した。2024年4月にはリニューアルを予定、新しい緑茶としての存在感をさらに高めていくという。

「乳性/ヘルスケア」領域では、「カルピス」が変わらず提供し続けている4つの基本価値”おいしいこと・安心感のあること・滋養になること・経済的であること”の改めての訴求と、大人も満足できる高付加価値を拡充していく。また「カルピス由来の乳酸菌科学シリーズ」を「カルピス」ブランドとして4月にリブランド。「PLUSカルピス」として、同ブランドの強みである機能とおいしさを明確に伝えるデザインに変更する。

そして「炭酸」は140周年を迎える「三ツ矢」、120周年を迎える「ウィルキンソン」の周年ブランドを中心に炭酸市場の活性化に努めていくという。

「三ツ矢」は、社会課題の解決や「ワクワクと笑顔」を届ける新商品を発売。1月には周年商品の第一弾として「三ツ矢PREMIUM SWEET」、3月には「MITSUYA檸檬Cider140」を発売。人気アーティストによる楽曲づくりやユーザー参加型SNS施策などを通じたコミュニケーションも行っていく。また 容器の高さを変更することで、輸送効率改善に伴う環境負荷軽減を実現。よりサステナブルなブランドに変わる。

「ウィルキンソン」は、「刺激・強め」の訴求強化と多様なニーズに応える新商品を展開。ボトルは「ウィルキンソン」ロゴを強調したデザインに変更。また新たな領域として、大人の甘さと2つのビタミン(ナイアシン・ビタミンB6)を付加した「WILKINSON GO テイスティグレフル」を発売。コミュニケーション面では周年施策を軸としたサンプリングや記念イベントを行い、接点の最大化を図っていく。

また商品だけにとどまらず、炭酸の持つ力をひもとき社会に役立つ様々な可能性を明らかにすることで、健康課題の解決やウェルビーイングの促進につなげる取り組みも行う。
○強炭酸サーバー「EXTRA BURST」登場

CSV戦略では、「環境」「健康」「地域共創」を掲げ、個別のアクションを繋げてストーリーを構築していく。無糖炭酸水市場の伸長、そして容器への環境配慮が加速している状況を受け、2024年4月には強炭酸サーバー「EXTRA BURST」が登場。アサヒグループのガス抜けを抑制する独自技術を活用し、PETボトルや缶・びん入り炭酸飲料では実現が難しい高ガス圧の強炭酸が体験できる。

同商品は2024年4月にオフィスやホテルなどBtoB向けに、サーバーをレンタルするサービスとして開始、同時にフレーバー対応機のテスト展開も実施する。また2025年までにサーバーの小型化を行い、家庭用にも挑戦を目指すという。

アサヒ飲料株式会社 CSV戦略部長 三浦 正博氏は、「炭酸のアサヒとして、新規領域のビジネスを通じて顧客体験を作り、無糖炭酸水市場のさらなる活性化につなげていきたい。三ツ矢やウィルキンソンという100年以上のブランドを持つ我々が、炭酸の魅力を伝えていくことで、お客様の接点を増やしていきたい」と期待を寄せた。

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