「絶対残りたいという人もいて…怒号も飛び交った」 被災地外への移送を拒否する人も コミュニティを崩さずどう命を守るか 能登半島地震

被災地では今なお安否不明者の捜索と復旧作業が進んでいますが、住民たちには復興への難しさが立ちはだかっています。
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1月13日の石川県七尾市。能登半島地震では震度6強を観測しました。住宅街のあちこちに地震の爪痕が。こうした中。
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(大野和之記者)「石川県七尾市の住宅街に来ています。こちらの住宅では、業者がブルーシートを張っただけで12万円も請求されたということです」この住宅は『ブルーシート詐欺』のあった現場です。
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1月3日、この住宅に1人で暮らす70代の女性を、神戸の屋根瓦業者を名乗る2人組の男らが突然訪ねてきたといいます。(70代女性)「『予約がいっぱいあるんだけど、この家を最初にやりますから、ブルーシートを張りませんか?』って」男らは20分ほどでブルーシートを屋根にかけ、立ち去ったということです。
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しかし、そのブルーシートは2日後には剥がれてしまい、女性が張り直しをお願いしましたが、無視された状態。
女性は現金で12万円を支払っていました。ブルーシートは、安いもので10メートル四方のサイズが2枚5000円台で販売されています。女性が支払った12万円は、名古屋に住む息子が「温泉旅行にでも」とお年玉として渡してくれていたものでした。
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(70代女性)「若い人たちが助けてくれるんだと思うから(だまされてしまった)。真面目に働いたほうが良いと思う」
石川県では地震の被害に便乗した悪徳商法と疑われる事案や、それに関する相談、情報などが14日までに75件寄せられていて、石川県警はパトロールを強化しています。
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一方、輪島市の公民館に避難していた住民の中には…(住民)「不安だらけだけど、なんとか帰ってきて再生したい」「いつかはここ(南志見)で夫は『もう一回家を建てたい』と言っている」“被災者が安心して暮らせる環境”をどう整えていけばいいのか。支援の難しさもわかってきました。
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輪島市南志見地区は人口700人あまり。里山が広がり一次産業や観光業に従事する人たちが多い地区です。地区内には孤立した集落があり、現在もとどまっている住民がいます。このまま地区内で生活を続けていくのは非常に難しい状況となっていることから、1月11日に石川県は金沢市へ被災者のヘリでの移送を開始。
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しかし、この移送は前日の10日に急遽決まったとのことで、住民説明会は紛糾したと言います。(住民)「『家財と命とどちらが大事なんや』という人もいれば『絶対残りたい』という人もいて、多少怒号も飛び交った」金沢へ行くことを拒否する住民を説得しに来たという石川県の吉田修議員は、こう話します。
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(石川県議会・吉田修議員)「自分の村を守りたい。家を守りたいという思い。これも田舎の良いところ。しかし、今は有事。集団で避難する」元々地区の人たちの結びつきが非常に強いコミュミティ。それゆえ移転するにも配慮が必要と強調します。(吉田議員)「コミュニティがバラバラになると崩壊する。今後このコミュニティが回復するためには、できるだけ避難先でもコミュニティを崩さず1つで(いるべき)。(避難所に)入らなければ2つ。なんとかまとまっていられるように」復旧・復興の過程でふるさとを離れることの難しさは、これまで起きた災害でも指摘されました。
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コミュニティを崩さずに被災者の命を守る、暮らしを守る。新たな課題が能登の被災地でも立ちはだかっています。

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