キリンビールは、17年ぶりにスタンダードビールの新ブランドを上市することを発表。1月11日に開催された「2024年 事業方針発表会」では、2023年の振り返りとともに、2024年の取り組みについて説明された。
○■「一番搾り」とビールの新ブランド育成で、ビール市場のさらなる活性化へ
冒頭、キリンビール 代表取締役社長 堀口英樹氏が登壇。2023年の販売実績について「新型コロナウイルスの収束傾向による経済活動の回復や10月の酒税改正など大きな外部環境の変化があったが、ビール類市場全体は前年比99%程度の着地。また、市場は6年ぶりにビールカテゴリーの構成比が50%超えと推計します」と報告する。
「一番搾り」「一番搾り 糖質ゼロ」はリニューアル発売。健康志向を背景に「氷結 無糖」は過去最高の販売数量となり、「無糖チューハイ」カテゴリーの拡大をけん引した。クラフトビールは、全国の13ブルワリーと連携した初のイベント開催や飲食店へのペアリングを提案するなど、クラフトビールカテゴリーの創造に向けた取り組みを強化したと話す。
国産ウイスキーは、富士御殿場蒸留所50周年に伴い、「陸」「富士」ブランドの育成に集中。「陸」は前年比約1.9倍、「富士」は前年比約2.7倍という結果となった。
続いて、2024年取り組み方針について説明した。2024年は「全員でお客様価値の創造にチャレンジ」をテーマに、「強固なブランド体系の確立」、「新価値を提供する事業・ブランドの着実な成長」を軸とした事業戦略で取り組むという。「一番搾り」ブランドは、多様なラインアップでさまざまなおいしさと楽しみ方を提供、また17年ぶりにスタンダードビールから新ブランドを上市すると発表した。
また、クラフトビールの認知度や飲用経験は向上、市場も拡大している一方、同社調べによると約8割がノンユーザーという結果が明らかに。さらなる市場拡大の機会は「興味があるが飲んだことがない」といった興味層の獲得に注力していく。
さらに、クラフトビール事業では、「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」ブランドと直営店「スプリングバレーブルワリー東京」をリニューアルするとのこと。最後に、「2024年は『一番搾り』と新ブランドをともに育成し、ビール市場のさらなる活性化を目指していきます」と力を込めた。
○■新「スプリングバレー」が誕生
続いて、キリンビール 執行役員 マーケティング部長 今村恵三氏が登壇。「アフターコロナのライフスタイルの変化や価格高騰など環境変化に伴い、消費価値観も変化しています。多様なお客様にあわせて、キリンならではの価値提案を行っていきます」と話す。
「スプリングバレー」ブランドは、ホップの特長を最大限生かし、質のよい苦みを実現。また、クラフトビールを飲んだことがない人にも「親しみやすさ」を感じてもらえるデザインに刷新する。
「一番搾り 糖質ゼロ」については、「2023年は機能系ビールに対するお客様のイメージを変容し、機能系ビールを飲んでなかったお客様の獲得に成功しました」と今村氏。2024年は、「おいしい、高品質なビールとして、ビールの魅力を高め、お客様の毎日によろこびをひろげていく」と意気込む。
「本麒麟」は、2024年1月製造品より中味・パッケージのリニューアルを実施。「本麒新しい本麒麟、はじまる」をテーマに、飲み飽きない味わいの実現と親しみやすいイメージを強化していくという。また、「氷結」無糖カテゴリーの拡大、新提案を検討しているとのこと。