商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社である兵庫県・西宮市の西宮神社で10日、参拝の一番乗りを目指して疾走する新春名物の伝統神事「福男選び」が行われた。
2021、22年はコロナ禍とあって神事のみで、昨年に3年ぶりに行われ、今年は連続実施。福男に近づけるAブロック(108人)をくじで決める抽選参加者は昨年は1200人に減らしていたが、今年は1326人。午前6時に門が開かれると、約230メートル先の本殿へ向けて、難コースの境内を一斉に駆け抜けた。
くじ番号15番でスタート地点2列目で、100メートル走11秒29の追手門大学1年の陸上部員・高谷望巳さん=兵庫県尼崎市=が一番福となった。初参加で、会見では「実感が湧かない」と緊張の面持ちだったが、元日に起きた能登半島地震の被災者に思いをはせて「届け方が分かりませんが、ちょっとでも元気づけられることができれば」。
二番福の山下慎之介さんも初参加で鳥取県鳥取市から車で訪れた。地元では消防局に勤務している。元日の地震発生では、鳥取は震度4で津波注意報も発令されていた。勤務は休みだったが、状況把握のため急きょ出勤。別の隊員が応援で石川に派遣されている。山下さんも「最初は行く予定で、福男参加はやめようかと思ったのですが…。力になれるなら自分も現地に行きたい」と話していた。
三番福は神戸大学4年・多田龍平さん。在住する地元・西宮市はプロ野球・阪神タイガースの本拠地だが「オリックスファンです」と、虎のユニホーム姿の参加者も多い中、昨年の日本シリーズの悔しさを晴らすように福をつかんだ。