甚大な被害が出ている令和6年能登半島地震を受け、大手パンメーカー各社の食糧支援が話題となっている。加えてネット上では、フジパン商品に生じた異変に対し、称賛の声が多数上がっているのをご存知だろうか。
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ことの発端は、とあるX(旧・ツイッター)ユーザーが3日に投稿した1件のポスト。
「朗報」の2文字が並んだ投稿には「フジパンのバターロール、6個→5個の減量を経て再び6個に増量」「こういうのって一旦減らしたらそのまま戻さない印象だったわ。フジパンはもっとアピールして良いぞ」と綴られ、フジパンの「ネオレーズンバターロール」が写った写真が添えられていたのだ。
フジパン商品に生じた異変、サイレント値上げと思いきや… 神対…の画像はこちら >>
写真に目をやると、パッケージには確かに「6個入り」と大きく記されている。
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物価の値上がりや、値段はそのままに内容量が減量となる「実質値上げ」が、半ば当たり前となってしまった昨今。そうした背景もあってか、件のバターロールの「増量」は多くの人々に感動をもって迎えられている。
前出のポストは投稿から数日で9,000件近くものリポストを記録しており、他のXユーザーからは「震災でも迅速に対応していましたし、優良企業が過ぎる」「こういう会社には長く残ってほしい」「自分もこういうのって戻らないと思ってた、すごいねフジパン」「これは激アツすぎん?」など、称賛の声が多数寄せられていた。
そこで今回は、ことの経緯をめぐり「フジパン株式会社」に詳しい話を聞いてみることに。その結果、あまりに素晴らしい「企業努力」が明らかになったのだ…。
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話題の「ネオレーズンバターロール」の個数変更の推移と背景について、フジパン担当者は「輸入レーズンの世界的な減産および、レーズンの国際価格の大幅な高騰により、2023年3月1日より入り数を6個から5個に変更とさせて頂きました」と振り返る。
多くのユーザーを悲しませた減量は同社としても苦渋の選択だったと思うが、今年1月より入り数を5個から6個に増量。以前と同様の規格にて、販売を開始したのだ。
レーズンの価格推移は昨年から大きな変動は無いとのことで、担当者は「入り数を変更以降、お客様より入り数に関するご意見を承りました。そこで当社内にて協議し、入り数を6個に変更することを決定いたしました」と説明している。
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だが中には、こうした「個数増」を受けて「パンの数は戻っても、一個当たりのサイズが以前より小さくなっているのでは…」と不安を覚えた人もいることだろう。
こちらの疑問に対し、フジパン担当者からは「入り数を一度5個に変更し、その後に6個に変更となりましたが、生地量やマーガリン量など1個あたりの規格変更はございません」との回答が得られた。
商品の内容量をめぐって「見せかけの増量」や、実質的な「サイレント値上げ」といった手段を用いる企業も少なくないが、フジパンは正々堂々と、文字通りの「増量」を実施したワケである。
なお、以前入り数が5個に「減量」した際は「『ネオレーズンバターロール』規格変更のお知らせ」と題した発表を行なっていたが、今回の「増量」に対してはそうした告知が見られなかった。
こちらの詳細について、担当者は「(今回の件は)ホームページ等において、お知らせは実施しておりません。以降も告知予定はございません。配信予定が無い理由は特にございません」「現時点において入り数6個入を継続し、対応させて頂きます」と説明している。
ユーザーの意見や要望に真摯に耳を傾ける姿勢こそ、フジパンが多くの消費者に愛される所以だろう。
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秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。