能登半島地震の被災者を沖縄で受け入れようと、沖縄県内経済界を中心に機運が高まっている。観光関係者が中心となり、9日にも「緊急避難者のための県内での一時避難受け入れを準備する有志の会」を発足する。寒さや水、食料不足などの過酷な環境の中、避難所で過ごす被災者に一時的に県内に避難してもらうため、県や市町村などにも呼びかけ、官民一体となった被災地支援を目指す。 行政が正式に対応を決める前に、有志の会を立ち上げることで、迅速、円滑に避難者を受け入れられるよう準備体制を整える趣旨。 また、公的支援が整備される前でも、民間企業の協力体制を活用して、被災者が安心して一時避難できる環境を整える方針だ。 発起人代表は沖縄ツーリスト会長の東良和氏、県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長の宮里一郎氏、県ホテル協会会長の平良朝敬氏、沖縄観光コンベンションビューロー会長の下地芳郎氏。 そのほか、移動・交通を担う企業の野口望氏や、県内旅行業2団体のトップである與座嘉博氏、松田文隆氏などが名を連ねる。 県内では、東日本大震災の発生後、多くの避難者を受け入れた。県は震災発生後に「被災地支援本部会議」を開き、7日後の2011年3月18日には「被災者の受け入れ方針」を発表。ホテルなどの宿泊所の確保や旅費・宿泊費の負担軽減、医療、福祉、教育サービスの提供など官民連携で取り組んだ経緯がある。 県営住宅への受け入れなど、公的支援を受けた被災者は少なくとも567世帯1266人に上る。当時も観光業界が大きな役割を果たしたことから、今回もその経験を生かしたい考え。 有志の会は9日以降、県に被災地からの相談窓口の設置と、緊急避難者の受け入れ方針を早期に発表することなどを求める予定。市町村や県内企業にも働きかけ、県全体で支援する態勢構築に向け取り組む。(政経部・川野百合子)