2024年1月5日に映画番組『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で、アニメ映画『千と千尋の神隠し』が放送されました。
同年が辰年であることから、龍が登場する『千と千尋の神隠し』は、新年のスタートを切るのにふさわしい作品として選ばれた様子。
八百万の神々の世界に迷い込んだ少女の成長物語に、多くの人が胸を震わせました。
放送中、同番組はX(Twitter)で作品の裏話を続々と投稿。
「初めて知った」という声が上がった、2つの投稿をご紹介します!
主人公の千尋がエレベーターに乗った際、守るような行動を取った神様が印象に残った人は多いでしょう。
二股の大根のような姿で、歩くと足音がキュピキュピと鳴っていました。
この神様の名前は作中で明かされていませんが、同番組によるとおしらさまだとのこと。
東北地方では同名の『おしら様』が信仰されており、説話集『遠野物語拾遺』では、カイコや農耕、子供などの神とされています。
しかし、『おしら様』の御神体は大根に似た姿をしていません。神々のデザインを新規に考えた理由について、宮﨑駿監督は語っていました。
このまっしろな神様は「おしらさま」といいます。東北地方では、古来「おしら様」という同じ名前の神様が信仰されてきました。そのご神体は桑の木で作った棒の先に男女の顔や馬の顔を彫り、衣を重ねて着せたもので、作中に出てくる大根のような姿とは全く違います。 続く#千と千尋の神隠し pic.twitter.com/jNk2w4dFlf
続き宮﨑駿監督は作品に登場する神様について次のように話しています。「もともと日本の神様って形がないんですよ。(中略)百鬼夜行図みたいなものも、全部後から作られたものですからね。だからそういうものを根拠にデザインしたくはなかったんです」 続く#千と千尋の神隠し
続きちなみに東北地方で信仰されてきた「おしら様」は子供が大好きな神様なのだそうです。おしらさまが初対面の千尋を助けてくれたのは、この同じ名前の神様とも関係があるのかもしれませんね。#千と千尋の神隠し
「もともと日本の神様は形がない」という考えから、先人が描いた姿にとらわれずにキャラクターデザインをした宮﨑監督。
だからこそ、おしらさまは子供から大人にまで愛される造形となったのですね。
神々に風呂を提供する『油屋』が舞台の同作。
「神々が集まる」という発想がどこから来たのか、気になっていた人もいることでしょう。
同番組は、発想のヒントについても触れています。
神様がお湯屋に疲れを癒しに来る、という設定は長野県南部の遠山郷などで、毎年12月に行われるお祭り「霜月祭」が発想のヒントになっています。宮﨑駿監督「日本中の神様を呼び出してお風呂に入れて元気にするっていう非常に面白いお祭りがあるんです。」と語っています。 続く pic.twitter.com/baNx9l7RKq
続き「日本の神様たちって本当にささやかな人たちだと思うんですよ。(中略)どうして神様たちを登場させたのかというと日本の神様たちはきっとものすごくくたくたになっていると思ったからです。そしたら二泊三日で骨休みにお風呂屋さんに来るに違いないと思ったんです。霜月祭と同じようにね」
湯で神々をもてなす祭事が、実際に長野県南部にあるとは…!
疲弊した日本の神々も、私たちと同じく風呂でリフレッシュしていると思うと、親近感を覚えますね。
投稿には、このような声が寄せられています。
・長野県南部出身だけど、知らなかった!地元のお祭りが紹介されて嬉しい。
・このシーン、おしらさまのお腹がぽよぽよしていてかわいいんだよね。
・初めて知った。島根県東部の出雲に神々が集まる、神在月が元だと思っていたので驚き!
作品の裏話は、時に予想と異なる事実を知ることができて面白いもの。
『千と千尋の神隠し』の世界を、今までと違う視点でも楽しんでみてはいかがでしょうか。
[文・構成/grape編集部]