名古屋駅近くのカラオケ店で女性を刺殺するなど、2人の女性の殺害に関与したとみられる静岡県出身の曾我春暉容疑者(25)=愛知県警が殺人容疑で送検済み=が、配信アプリを通じて知り合った女性をホテルに誘い出し、セックスを断られると首を絞めて「殺すぞ」などと脅していたことがわかった。被害女性が集英社オンラインに証言した。曾我容疑者はこの女性に、配信アプリで「投げ銭」に大金を突っ込んでいた“元恋人”のこともペラペラしゃべっており、改めて場当たり的で不誠実な本性が浮かび上がってきた。
証言したのは30代女性のHさんで、曾我容疑者とは配信アプリを通じて2021年の10月ごろから連絡を取るようになったという。曾我容疑者のハンドルネームは「ハルくん」だった。「ハルくんは、あんまりコメントとかしてなかったんですけど、とにかく口がうまいっていうか、自分で突っ込んで自分でボケて、みたいな。本当に陽キャっていう感じで、頭の回転も早かった。私が配信のことで悩んでるときも、優しく相談にのってくれたりしていました」Hさんも曾我容疑者と同じ“配信者”だった、2人はそのうちLINEでもやり取りするようになり、22年の2月ごろ、実際に会うことになる。曾根容疑者はそのころダイエットに成功して130キロから80キロになっていた。
配信者だった曾我容疑者(本人SNSより)
「向こうが静岡に帰って、ちょうど私の地元も通るから、会おう会おうって。観たい映画があるから、一緒に映画だけ観に行こうってしつこくて。私も友達として会うと思ってたので、“ま、いいよ”みたいな感じで。木村拓哉さんの娘さんのKki さんが出ているホラー映画『牛首村』を観に行ったんです」映画はその日の最終回で、上映が終わったのは深夜だった。「終電がないから、私のうちに泊まるか、ホテルに行こうってしつこくて。でも、私の家には入れたくなかったので、ホテルに行ったんです。ちょっと失礼な話なんですけど…実物は顔とか体型とか、配信で見ていたときと全然違っていて、いわゆる“加工がすごい”みたいな。ニュースに映っていたあの帽子をかぶって、ロングカーディガンみたいなコートを着ていました」
曾我容疑者(本人SNSより)
あまりのしつこさに根負けしてホテルには入室したものの、女性は機転を利かして「脱出」に成功したという。「ホテルには一旦行ったんですが、途端に服とか脱ぎ出して『これは無理だな』と思って、『車に忘れ物したから取りに行きたい』って言ったら『俺も一緒に行く』って言い出して」
しかし、フロントに電話したところ、どちらか一人は残るように指示されたことが幸いだった。「それで逃げたというか私だけ部屋を出たんですよ。『忘れ物は車にあるから、すぐ取りに行って戻るね』って。結局家に帰って翌日の朝まで寝たふりをしてバックレました。ただ、そこに残しておくのもさすがに悪いなと思って、いろいろ理由をつけて、ホテルに迎えに行ったんです。それで駅まで送ろうと思って、部屋に入ったんですが…」曾我容疑者が本性を見せたのは、そのときだった。「いきなり『俺、結局ずっと1人で取り残されてて、金どうすんだ』と首を絞めてきて『殺すぞ』って。怒ってはいたんですけど、 本気というよりは、笑いながら『どうすんだよ~』みたいな。でもホテルに行く前にも、彼はずっと『俺ドSだから首絞めるのとか好きなんだよね』みたいな話をしてたんですよ。それも、なんか気持ち悪いなと思っちゃって。で、『やめてやめて! お金払うから!』っていう感じで突き飛ばして」
ズボンを脱ごうとする曾我容疑者(知人提供)
ことなきを得た女性は、車で曾我容疑者を駅まで送り届けた。「彼は車中でも不機嫌だったけど、一応しゃべってはいました。私がホテル代を払ったんで、落ち着いてはいたんですけど、『ホテルに行ったのに女とヤれなかった。こんなの初めてだよ。ぶっちゃけ逃げたっしょ?』みたいなことを、ずっとネチネチ言ってました。最初から、泊まる約束とかしていないんですけどね…映画観に行こうっていう話だけだったので」このころの曾我容疑者は、♯3で詳報した150万円を投げ銭に突っ込んだ「彼女」と別れてから、まだ間もないころだ。
出張ホストで人気No.1にもなった曾我容疑者(店舗HPより)
「彼女がいるとは聞いてなかったけど、ラーメン店で働いてたときにお客さんで来てた女の子に気に入られてるとかは言ってた。痩せてちょっとモテ始めて配信アプリも始めたので、その投げ銭してる女の子とか、どれだけお金を引っ張れるかとか、全部ずーっと女の子の話でしたけど。配信は私より後に始めて、数は少なかったけど、熱狂的っていうか、毎日、何時から始めても見てくれるような女の子がいて、何百万円も貢がせてたみたい。私たちは配信者同士なんで、私と話すときは、そういう話。とにかくお金。常にその話しかしていませんでしたね。カッコつけてなのか、『俺は貢がせてるからお金持ってる』みたいなことを言っていました」
このころの曾我容疑者はすでに、「郷里でラーメン店を開業する」という夢はどこかに吹き飛んでいたようだ。この女性には全く違うことを言っていた。「お金はあるけどとにかく遊び歩いて、フットワーク軽いから、どこでも行っちゃうとか言っていました。あと、どこか田舎の県でシーシャ(水タバコ)の店を開こうと思ってるとか。田舎でシーシャやったら儲かるんじゃないかとか、そんな話ばっかり、金と女のことばかり考えている印象でした」
曾我容疑者が提供していたラーメン(知人提供)
難を逃れたとはいえ、ホテルで危うく押し倒されそうになった経験は、気持ちのいいものではない。Hさんは事件報道を見て、あらためて恐怖がフラッシュバックしたという「あそこで金を払わなければ私はどうなっていたのか…そう思うとゾッとします」正月を迎えることができなかった2人の被害者女性の目に最後に映ったのは、どんな景色だったのだろう。調べの際、曾我容疑者は“黙秘”を続けているという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班