2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第8位は、神奈川県でおこった妻を殴って死亡させた事件の記事だった(初公開日:2023年2月21日)。色黒肌でツーブロックヘアのマイルドヤンキー男に金髪女性。結婚式の写真を見る限り、幸せにしか見えない二人の甘い生活は最悪の結末を迎えた。酒乱の夫が妻の顔面を殴打し……神奈川県警瀬谷署は20日、同県愛川町の自称建築業、伊藤裕樹容疑者(34)を傷害の疑いで緊急逮捕した。被害者の妻、初音さん(26)は発見時すでに死亡しており、同署は容疑を傷害致死に切り替えて捜査を進める方針だ。
2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第8位は、神奈川県でおこった妻を殴って死亡させた事件の記事だった。(初公開日:2023年2月21日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
横浜市瀬谷区に住む男性が19日午後8時40分ごろ「自宅で妻を殴って大変なことになってしまったという友人(伊藤容疑者)から、こっちに来ると連絡があった」と110番通報。約1時間半後、同区内の路上に停めてあった車内にいた伊藤容疑者と初音さんを同署員が発見、初音さんは後部座席に横たわった状態で死亡しており、全身に殴られたような痕があったという。同署の調べに伊藤容疑者は「父親ら親族と別の場所で飲酒してから帰宅後に妻と飲み直し、トラブルになった」と供述しており、初音さんの顔を何度も殴ったとみられる。SNSなどによると二人は2017年8月に結婚し、間もなく男の子が生まれたが、伊藤容疑者はこの頃から酒に酔っては初音さんに暴力をふるう姿を友人らに見られていた。赤ちゃんを抱っこする初音さんの腰付近を伊藤容疑者が繰り返し蹴る様子を見た知人が、見かねて注意をしたとの報道もあるほどだ。口論から揉み合いになり、警察官が駆けつける騒ぎも頻繁にあったようだ。犯行現場のある自宅は、J R相模線原当麻駅から約5キロ西の距離にある住宅街。登記簿謄本によれば自宅は2020年9月に新築された木造2階建てで、伊藤容疑者は住宅金融公庫などから約2400万円の融資を受けて土地と共に購入している。近くに住む60代の男性が語る。「伊藤さん一家は3年前に引っ越してきて、普段はご夫婦の仲も良く、補助輪付きの自転車に男の子を乗せて遊んでる姿をよく見かけましたね。旦那さんも顔を合わせば『こんちわ』と元気よく挨拶してくれる、気のいい大工さんなんだけどね」
伊藤容疑者(本人Facebookより)
しかし、「気がいい」のはシラフのとき限定だった。男性が続ける。「とにかく酒が好きで、BBQするためにウッドデッキ作ったり、家の中にバーカウンターまでこしらえて自慢してたんだけど、要するにパリピって言うんだっけ? 飲んで大騒ぎするんだよ、仲間と。でも仲間の見た目もイカツくて怖いから、近所の人たちも通報するに通報できないで、結構迷惑してたね」
この男性や近隣住民の話によると、伊藤容疑者は陽気のいい春先から秋口になると、毎週末のように数人の男友達を自宅に招いてウッドデッキや駐車場でバーベキューを開催、缶チューハイなどをあおっては大声で騒いだり、仲間内で怒鳴り合ったりしていたという。「酔っ払ってくると横を通りかかる近所の人を睨みつけたり、仲間同士で『てめえ、やんのかコラ!』とか口論になったりね。全員ガラが悪いから怖くて注意もできないし、駐車場でバーベキューやる時は車を近所のスーパーに置きに行って、終わってから自分で運転して戻ってきてたから飲酒運転もバリバリやってたよね」(別の男性住民)
春~秋にかけて庭先で週末はBBQをしていた
初音さんは可愛らしい印象だったが、酒が入ると気の強い一面ものぞかせ、伊藤容疑者と口論になると突っかかることもあったという。また、ポメラニアンを飼って可愛がっていた初音さんは、広場や公園に散歩に出かけると近所の子供たちに犬を触らせて遊ばせてくれる「優しいお姉さん」としても知られていた。伊藤容疑者宅の裏のアパートの住人はこう証言する。「伊藤さんのご主人は夕方になると酒を飲み始め、徐々に声が大きくなるという繰り返し。事件当日も午後7時ごろ、大声が聞こえてきたのでまた飲んでるなと思っていたら、9時ぐらいにタンスを投げるような『ドカっ』という大きな音と地響きが聞こえてきて、怖くて窓も開けられなかった。3日ぐらい前から子供の声が聞こえなくなっていたので、どこかに預けていたんでしょうか」酒に溺れて正気を失い、妻の命を奪うまで殴打した夫。子供が難を逃れたことが、唯一の救いとしか言いようのない事件だ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班