<博多刺殺事件・数十か所を刺し、骨折の痕も>「イケメンでモテていたが…」「思うようにいかないとモノにあたる」寺内進容疑者は元交際相手をなぜ手にかけたのか。周知だった酒癖の悪さと気性の荒さ【2023スクープ記事 7位】

2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第7位は、元交際相手を殺した博多でおこった刺殺事件に迫った記事だった(初公開日:2023年1月19日)。1月16日午後6時9分、川野美樹(38)さんと容疑者の男が傘を差して博多駅方面へと歩く姿を防犯カメラが捉えていた。その後、コンビニ店の前で向き合って口論しているような様子も記録されている。午後6時15分ごろ、男は突然、川野さんを引きずり倒すと、馬乗りになって覆いかぶさるような体勢で刃物を振り上げた。押し倒した川野さんを何度も突き刺すと、徒歩で足早に去っていった。
2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第7位は、元交際相手を殺した博多でおこった刺殺事件に迫った記事だった。(初公開日:2023年1月19日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
博多駅から約250メートルという人通りの多い繁華街の路上で起きた殺人事件。逮捕されたのは川野さんの元交際相手の寺内進容疑者(31)だった。大手紙の社会部記者は語る。「遺体には上半身を中心に傷が数十か所あった。複数の刺し傷や切り傷による失血死で、硬い刃物で何度も刺されたためか骨折の痕も確認されていた。強い殺意を持って犯行に及んだと見られている」
犯行現場にはたくさんの献花が
捜査が急展開したのは1月18日の午前6時ごろだった。「中州付近で寺内容疑者を見かけた」という情報提供をもとに、見当たり捜査員が自宅から900メートルほどの場所を一人で歩く寺内容疑者を発見した。寺内容疑者は身柄を確保された際、黒縁のだてメガネに頭からフードをかぶり変装していたという。寺内容疑者は「刺したのは間違いない」と供述しているが、二人の間に一体何があったのだろうか。捜査関係者が語る。
「被害者は福岡市中州のバーで働いていた容疑者と、同じ系列の飲食店で知り合った。系列店内の恋愛は禁止されていたため、二人は隠れて交際していた。交際を始めたのは昨春ごろで、昨年の10月下旬に被害者から警察に相談がよせられた。『携帯を取られている。もう別れたい』という相談内容だった。その後に被害者が別れることを告げると『俺は怒った。許さんぞ』というメールを被害者に送信していた。警察は寺内容疑者に口頭で警告をしたが、付きまとい行為をやめなかった。昨年11月中旬、容疑者は女性の勤務先を訪れると、被害者が相談をして警察が関与したため『(解雇されて)仕事がなくなるだろう。どうするのか』などと詰め寄っていた。その後も被害者に電話をし続けるなどしていたため、県警は昨年11月下旬、ストーカー規制法に基づく禁止命令を出していた」再三にわたって警察に相談に訪れていた川野さんについて、知人は「なぜ殺されなければならなかったのか」と悲痛の声を漏らす。全国紙記者が語る。「川野さんが福岡に引っ越してきたのは約10年前です。離婚歴がありシングルマザーとして娘を育てようと頑張っていました。両親と娘の4人暮らしで博多駅近くの会社で事務員として勤務していました。以前には同県那珂川市でエステサロンの経営などもしていましたし、中洲で有名な高級ラウンジで働いていた事もありました。明るくて美人で気さくだった川野さんは人気者だったと聞いてます」
シングルマザーとして仕事や子育てに奮闘していた川野さん
一方、寺内容疑者は大阪や東京などのサパークラブやバーを転々としていたと見られている。寺内容疑者が以前働いていた飲食店によると、最初、寺内容疑者は1万円を握りしめ、キャリーケースひとつを持ってやってきたという。
寺内容疑者とは一体どんな人物なのか。大阪府出身の寺内容疑者、中学時代の同級生は「なんとなく覚えているが印象がない」と声をそろえた。前述全国紙記者が語る。「対照的に高校では同級生たちが『暴力的、乱暴だった』『自分を大きく見せたいのかいつでもシャドーボクシングをしていた』などと証言しています。普段は優しく、イケメンではあったので女性にはモテていたようだが、酒が入ると大阪弁できつい言い方をしたり、暴力的になる事が多かった。その粗暴さに嫌気がさす女性も多かったらしい。酔って自分の働いている店の近くで喧嘩などをしていることもあった。寺内容疑者の母親が『気は短いと思う』『自分の思うようにいかない時にモノにあたる』などとインタビューに答えているとおり、短絡的な一面があったようだ」
勤務中の寺内容疑者
寺内容疑者が逮捕された1月18日、本来であれば川野さんは誕生日を迎えるはずだった。現場には花や飲み物の他にバースデーカードも供えられていた。SOSを出し続けていたにもかかわらず、最悪の結末となってしまったことが無念でならない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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