〈名古屋カラオケ店女性刺殺・同居女性も浴槽で〉逮捕された男は元ラーメン店店長で半年で50キロのダイエットに成功し出張ホストに…“オンナ好き”の配信者の凶行

名古屋駅近くのカラオケ店(名古屋市中村区)で12月26日午前、女性客(20)が血まみれで倒れ、搬送先の病院で死亡する事件があり、愛知県警は現場にいた住所・職業不詳で自称、曾我春暉容疑者(25)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。男は女性を刺した後に自ら「人を殺した」と110番通報、この際「同居していた女性もマンションの浴槽に沈めた」と説明したため捜査員がマンション(同市中区大須)に急行したところ、30代ぐらいの女性が浴槽内で死んでいるのが見つかった。県警は曾我容疑者が2人を殺害したとみて、容疑を殺人に切り替えて調べを進めている。
曾我容疑者から通報があったのは同日午前11時20分ごろ。女性と一緒にカラオケ店の個室に入室してから刺したとみられ、自らも手に軽度の切り傷を負っていた。室内には凶器とみられる包丁1本が落ちていた。別の女性が浴槽で亡くなっていたのは、事件のあったカラオケ店の南東約2キロにある、ファミリータイプのマンション。世帯数も多く、商業施設も複数入っている。男性住人が興奮気味に語った。
浴槽から30代女性の遺体が発見されたマンション(撮影/集英社オンライン)
「私は亡くなった女性の下の階に住んでいるのですが、今年に入って女性の部屋で水漏れしてることがあって、そのときに顔を合わせたことがあります。30代ぐらいで、小柄でおとなしそうなOL風の方でしたね。普通の人ですよ。水漏れがして天井が濡れていたので確認に行くと、『洗濯機の排水溝が詰まってて溢れてしまいました』と話していました」女性はこの階下の住民男性を部屋に上げて、丁寧に説明したという。男性が続ける。「女性は3年ぐらい前から賃貸で入居したと言っていました。部屋に上がって洗面所も見たのですが、どんな様子かも記憶に残ってないです。ただ、ゴミ屋敷とかそんな荒れた様子はなかったと思います。このときは同居人はいませんした」この住民によれば、部屋の契約者は女性だったが、その後に同居人として曾我容疑者と見られる男性をしばしば見かけるようになったという。「苗字が違ったので男性と女性はたぶん結婚はしてないのでは。3DKくらいの広さの部屋なので2人で住むには十分だと思いますよ。浴室、トイレ、洗面の全部が分かれてるタイプの部屋です。僕は今日の午前中は外出していて、正午ごろに帰宅したらマンションの前に救急車が停まっていて、続いて警官が10人ぐらいドカドカーっと入ってきたんです。あれ?何だろうと思っていたら、うちにも聞き込みに来られて『ケンカしてるような物音や騒音はありましたか』などと聞かれました」
病院から警察署に移送される曾我容疑者(写真/共同通信社)
県警関係者はこう話す。「曾我容疑者は住所不定ですが、この女性宅に転がり込んで住んでいたようです。女性は猫も2匹飼っていました。時系列的には最初に女性を浴槽に沈めて殺し、包丁を持参して出かけていることからカラオケ店にも殺意を持って向かったことは間違いありませんね。強行班の刑事に曾我の風体を聞いたところ、やさ男で風俗(出張ホスト)をしていたようです」
曾我容疑者は静岡県伊豆の国市出身で、中学時代は柔道選手として90キロ超級の試合に出場した経験のある猛者だった。中学卒業後は有名ラーメンチェーン店で修行し、岐阜県内のラーメン店に店長として勤務。190センチ近い長身で、数年前までは体重も130キロほどある巨漢だったが、胃の手術を行うなど急激なダイエットをして「ホスト風」にイメージチェンジしていた。ラーメン店のオーナー男性が語る。「私たちは大手の家系ラーメンチェーン店で働いていて、そこの社員旅行でハルキ(曾我容疑者)と出会いました。当時彼は18歳くらいで、静岡の中学を卒業して植木職人をしてたみたいなんだけど、ラーメンの修行するために東京に出てきて、最初は石神井あたりで働いてたと思います。すぐに意気投合して仲良くなり、よく渋谷のクラブに行きましたね。彼は当時からすごく女好きで、ストリートでナンパもしてたし、岐阜にきてからもマッチングアプリでたくさんの女性と会ったり、風俗にもよく行ってました。いわゆる面白キャラで、ナンパするときも女性を笑わせてました。『お姉さん足元に気を付けてください、僕セキュリティです』と言ってから『トトロの間違いだろ』と自分で突っ込んだり…」
ラーメン店で店長をしていた曾我容疑者(知人提供)
このオーナー男性は2018年に起業して岐阜県内でラーメン店を開業、ここに曾我容疑者を店長として引き抜いた。「ハルキに来てもらったのは2019年ですね。当時彼は大阪府内の家系ラーメン店で働いていたところを『そこより高い給料払うから』と店長になってもらいました。大阪からカバンひとつで来たもんだから私の家に住まわせて、月に大体35万円くらい払ってました。店長としてはかなり真面目に働いてましたよ。おもしろくて優しいからスタッフからの評判もよかったです。その年末ぐらいに券売機と両替機を盗まれる事件があったんですけど、そのときのマスコミ対応も引き受けてくれてましたね」
オチャラケキャラだった曾我容疑者(本人SNSより)
しかし、転機が訪れ、曾我容疑者は1年半前にオーナーの元を離れることになった。「うちのラーメン店はSNSを活用して宣伝していたので、その流れでハルキもライブ配信アプリを始めて結構のめり込むようになったんですよ。そのうちそのライブ配信の収入がウチの給料を超え始めたようで、月に40~60万円は稼いでいたようです。結局はライブ配信に集中したいということと、いずれ地元の静岡でラーメン店を開きたいという理由でウチを退職したんです」
オチャラケキャラだった曾我容疑者(本人SNSより)
その後、オーナーが久しぶりに「ハルキ」の消息を聞いたのは、半年ほど前のことだった。「彼と仲のよかったスタッフから『ハルキは名古屋にいるみたいです』と聞きました。地元で開業する話はどうしたのかと思ったので詳しく聞くと、『二重整形した』とか『女性用風俗(出張ホスト)を立ち上げた』とか言うんです。それで気になって配信アプリからハルキを確認したら、見た目がずいぶんと変わってました。トップ画は銀髪に青のメッシュを入れた髪型で、目も二重にもなってました。スラッとした韓流みたいな格好に黒髪のセンターパートで、プロフィールには女性用風俗の情報も載せていて。女性用風俗はホテルとか家に男性をデリバリーするタイプだったと思います」そこにはかつての巨漢の面影はなかった。「中学時代には柔道部主将だった名残で、出会ったころから90キロくらいあって、一緒に働いているころは最大130キロくらいあったんですが、そのせいでヘルニアになってしまったんですよ。それで腰を直すのと痩せたいってことで、今から2年前くらいに1ヶ月くらい店を休んで腰と、胃のバイパス手術をしたんです。おかげで店を辞めるころには80キロぐらいまで落ちてましたね。胃の手術後は食べる量もだいぶ減ったので、今はもっと痩せてたかもしれないです。元々はメイン料理3品、例えばファミレスならピザとパスタとハンバーグセット食べるようなやつだったのが、手術後はハンバーグもライス抜きで7割くらい食べてお腹いっぱいになるくらいでしたから」
トトロと一緒に写真を撮る曾我容疑者(本人SNSより)
ただし、オーナーが知る「ハルキ」は、刃物で人を傷つけるようなことをするタイプとは縁遠かったという。「彼は見た目こそ怖い感じでしたけど、全然オラついたりすることもなくて、陽気で人を笑わせてくれるタイプでした。もちろん人に暴力を振るったりすることもないし、柔道経験があって強かったから犯行に刃物を使ったというのも意外なくらいです。退社の経緯も若干残念な形だったので、以降は連絡も取ってませんでしたが、いろんな思い出もあるし本当にかわいい後輩だったのでショックですね」曾我容疑者が女性と住んでいた大須のマンション14階の住民女性はこう証言する。「私が見かけるのは男性の方でその方はすごく長身で色が白くてホストでもやっているような感じの方ですよ。女性の方はいつも顔を背けるので、顔はわからないんです。男性は顔を向けて挨拶してきましたが…」
イメチェン後の曾我容疑者(本人SNSより)
県警は死亡した女性の身元の特定を急ぐとともに、曾我容疑者との関係など調べを進めている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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