商店街のサンタ人形を窃盗→プレゼントされた飲食店&盗まれた商店街の困惑とその顛末

「サンタさんはプレゼントをくばりにいっています」
地元の子どもたちはサンタクロースが不在の間、毎日のように商店街に足を運び、張り紙に書かれたメッセージを見ながら、一日も早くサンタが戻ってくることを願っていた。
今月1日、徳島市の商店街に飾られていたサンタクロース人形と装飾品6点を盗んだとして、市内に住む無職の藤原孝司容疑者(45)がクリスマスイブの24日、窃盗の疑いで県警徳島中央署に逮捕された。
藤原容疑者は1日午後11時ごろ、徳島市中心部にある東新町商店街の広場に黒のワゴン車で乗り付け、高さ90センチ、重さ6キロのサンタ人形とプレゼントボックスを次々と車に詰め込んだ。日付が変わった2日未明、藤原容疑者は市内の飲食店を訪れ、店の女性従業員に盗んだサンタ人形をプレゼントした。
「いきなりサンタ人形をもらった女性も扱いに困っていたようです。大きいし、家にも持って帰れず、置く場所もない。しかも藤原は店の常連客でもなく、これまで数回飲みに来た程度だった。仕方なく、お店に飾っていた」(捜査事情通)
サンタ人形が盗まれた事件を地元メディアが取り上げたところ、飲食店の経営者が10日、交番を訪れ、「うちの店で働いている女の子が、お客さんからサンタの人形をもらった。盗まれたという報道を見て不安になった」と申し出た。署は指紋採取などの証拠保全を行い、13日午後、商店街の理事長にサンタ人形を返還した。
藤原容疑者は女の子にサンタ人形をプレゼントした当日の午後1時ごろ、市内の公営施設の駐輪場で他人名義の原付バイクのシートに火をつけた上、ナンバープレートを盗み、午後11時、器物損壊と窃盗の疑いで逮捕されていた。
「勾留中にサンタの窃盗事件が発覚し、防犯カメラや、従業員の証言などから犯行を特定した。本人は、原付については犯行を認めているが、サンタクロースに関しては、なぜか、『盗みなんてしていません』と否認している。商店街側は『クリスマスまでには戻してもらいたい』と言っていたので、早期に被害品を発見でき、返すことができて良かった」(捜査事情通)
東新町商店街の関係者は、冒頭のサンタ不在の張り紙をした意図をこう説明する。
■「今年はいないね」と悲しむ子どもたち
「毎年、商店街にサンタさんを飾っているのですが、初日の夕方4時ごろ飾り付けが終わり、盗まれたのはその日の夜でした。サンタさんを見に来たお子さんが『今年はサンタさんがいないね』と寂しそうに話している姿を見たお母さんが、『サンタさんは今、プレゼントを配りに行っているんだよ』と話しているのを聞き、張り紙をすることにしました。その時点では、まさかサンタさんが戻ってくるとは思っていなかったので、新しいサンタさんを手配していました。サンタさんが来るまで待っててねという思いを込めてのことでした」
飲み屋の女性の気を引くため、毎年、サンタとの再会を楽しみにしていた子どもたちを悲しませた罪は重い。

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